三段山クラブツアーへの
参加を希望する方々へ
(現在参加者は募集していません)
2012改訂版
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ビデオやWebを通じて三段山クラブを知った方々から、三段山クラブとツアーを共にしたいと希望されることがあります。三段山の素晴らしさを伝えたい一心でHPを開設した者としてはとても嬉しく思います。
しかし、昨今の遭難状況やツアーガイドが糾弾される現状を見て、きちんとした組織ではない三段山クラブが、初対面で力量の知れない方々と一緒にツアーを行うということについて、問題と責任を感じるようになりました。
そこでツアーを行う際の取り決めを設けました。ぜひご一読下さい。


取り決めの趣旨
三段山クラブは、営利目的のツアー主催団体ではありません。また、しっかりとした山岳会でもありません。代表者兼世話人として私がおりますが、それ以外の役割を持っている人はおらず、きちんとした組織ではありません。
三段山クラブのツアーは、気楽さやメリットもありますが、事故や遭難への対応では未組織ツアーならではの大きな弱点や問題点を抱えています。
具体的には、
●通常リーダーを務めている私には山岳ガイド等の資格を持っていません。
●クラブとして山岳保険に加入しておりません。
●三段山クラブとして各種連盟に加入していませんので、遭難時の組織的なバックアップ体制がありません。
●事故に対する責任は取れず、遭難者への補償もできません。
●特別な場合を除き、警察へ山行計画書は提出しておりません。
これを見て不満を感じたり、心配になった方は僕らと一緒に行動しないで下さい。是非ともプロガイドの主催する、きちんとしたツアーに参加してください。
十勝山系では、以下のガイドツアーをお勧めします。
Qali〜クウェリ〜
美馬牛・ガイドの山小屋

また、本気で山を極めたい人には、しっかりした山岳会への入会を強くお勧めします。

三段山クラブのツアーは、原則的にある程度の力量のある者(自分で自分の面倒を見る事ができる者)同士、一緒に行動することによってリスクを分散・軽減し、共に楽しもうというものです。ですから参加する側はあくまでも「自己責任」(自己責任とは、他人に迷惑を掛けないことも含みます)で参加してください。ですから三段山クラブのツアーは「引率登山」ではなく、「自主登山」という区分けになります。
頼りないと思われるかもしれませんが、これだけでも事故に対するリカバリーは単独行よりは何倍も確実になります。本格的なスキーツアーは危険を伴います。比較的簡単なフィールドで活動している三段山クラブのツアーでも、毎年のようにメンバー内で負傷者を出していること(転倒による捻挫・骨折・凍傷・外傷等)、そして冬山での負傷は、ゲレンデと違い簡単に遭難につながることをよく認識しておいてください。

三段山クラブツアー参加の条件:
三段山クラブなりのリスクコントロールとして、以下の事項を参加の条件とさせていただきます。
1.参加者が一定の力量を持っている、テレマーカーであること(行動形態の違いから、山スキー・スノーボードは不可)
2.安全装備を充実させる
3.山域を限定する
4.参加者はツアー規約を遵守する
5.参加者は免責事項に同意する
6.ツアー人数を制限する

1.参加者が一定の力量を持っているテレマーカーであること
山スキーとスノーボードの方はご遠慮下さい。同じ装備にして、ツアーの足並みを揃えるためです。
(1)片道三時間程度の行程が可能な体力を有していること(交代ラッセルも含みます)。
(2)シールを使った登高とキックターンができること。
(3)テレマークスキーについて、ある程度の滑降技術を有していること(最低でもスキー場の上から下まで転ばずに滑れること)。
(4)基本的な地図読み、コンパスの使用ができる
これらは、冬山へスキーで入山する際の最低限の条件だと思います。条件を満たしていない方は、入山しても本人が一番辛い思いをするだけになるでしょう。さらに他の同行者にも迷惑をかけてパーティ全体を危険にさらし、最悪遭難する可能性もありますので、どうかツアーへの参加はご遠慮下さい。
ツアーに出かけなくても、スキー場ですべての練習は可能です。適当なスキー場を頂上までシールで登って降りてくることは、とても良い練習になります。とくにシールの扱いは事前に慣れておいてください。
地図読みとコンパスの使用は冬山では当然の事です。1/25000地形図とコンパスを使いこなせるようになりましょう。そうしないと、はぐれる=>道迷い遭難になってしまいます。

2.安全装備を充実させる
十分な冬山装備(*1)を有し、また取り扱うことができるようにしてください。

3.山域を限定する
原則的にはツアーフィールドを三段山・富良野岳・十勝岳およびその周辺に限定します。不慣れなフィールドでは危険性が飛躍的に高まるためです。

4.参加者はツアー規約を遵守する
三段山ツアー規約:

(1)自己責任に基づいての行動ですが、チームとしての一体性を保つことにも気を配ってください。
(2)体調が優れないときは、自分の判断で不参加を申し出たり、山行中の不調についても、隠したり我慢したりせずに、皆に伝える勇気を持ってください。
(3)参加希望者は、事前に私へのメールで以下の項目を伝えてください。
氏名:
よみがな:
血液型:
生年月日:
住 所:
携帯電話番号:
自宅電話番号:
メールアドレス:
勤務先:
勤務先電話番号:
 緊急連絡先氏名:
 緊急連絡先住所:
 緊急連絡先電話番号:
その後、こちらから参加希望者へ電話いたしますので、その時には経験や体力的・技術的なレベルをできるだけ詳しく教えて下さい。その時点でツアー参加をお断りすることがあることをご了承下さい。
メールの内容は、私の方で出発前に集約してプリントアウトし、緊急連絡先へ渡しておきます。
(4)事故が起きた場合には、状況に応じてメンバー内で相談し、最終的な判断はリーダーがしてメンバーに指示を出し、それに従ってもらいます。
(5)遭難救助にかかった費用は、ツアー参加者全員の家族単位で平等に負担していただきます。但しそれ以外のあらゆる損害は当事者が自己負担してください。
(6)可能な限り、個々に山岳保険に加入しておくようにしましょう。
(私は加入していませんが、これは自分に捜索費用分程度の財力はあるという判断からです)
(7)普段からコンパニオンレスキューの講習会や雪崩講習会への積極的な参加に努めましょう(*2)。
大小を問わず、事故は必ず起こります。事故を起さないための心構えと同時に、起きてしまった後の対応についても、技術と知識を高めておきたいものです。
(8)未成年者の参加は、しっかりとした保護者の同伴が前提となります。

5.参加者は免責事項に同意する
三段山クラブのツアー参加者は、遭難事故発生時の損害賠償請求について、以下の免責事項について同意したものとします。
リーダーとして、その場での最大限の努力はするが、それ以上の事はできないということです。
第1項 
参加者は、ツアーへの参加が重大な後遺症を含む負傷や死亡など大きなリスクを伴うことを承知している。
第2項 
ツアーでのすべての計画は、会員の自己決定による「自主登山」であり、リーダー等が法的責任を負うような性質のもので はない。ツアー参加者は自らの完全な「自己決定権」の行使として、その活動を行ない、ツアーのすべての局面での行動を自己決定している。また、事故発生時に参加者間での法的責任を追求しあわないことに完全に合意している。
第3項 
ツアー参加者は、家族に対して活動のリスクについて十分説明し、山行中に発生した事故が「たとえリーダー等の判断ミスに よるものであっても、その法的責任を追及する意志はなく、リーダーなどの法的責任を問わないというツアー参加者間の合意」について丁寧に説明しておかなければならない。

6.ツアー人数を制限する
ツアーの人数としては、私は冬山で1パーティの人数の上限は8名前後だと考えています。これ以上になりますと、ツアー参加者全員の状況を把握することが難しくなり、悪天候時には脱落者を出す危険性があります。


事故発生時の対処マニュアル:
三段山およびその周辺で負傷した場合の、一般的な対処マニュアルを以下に示します。
1.負傷した方に応急処置を施します。必要に応じて、止血や添え木をあてるなどの処置を行います。
2.負傷者に対して、風の弱い所や足場の良い所など条件の良いところまでの最低限の移動を試みます。
3.負傷者が完全に行動不能の場合、シュラフカバーやツエルトなどを活用して負傷者の体温を下げないようにし、その場に待機できる体制を整えます。
4.ツアーのメンバーのうち、無事な人数が3名以上、もしくは付近の登山者の協力が得られそうなら、白銀荘に常備しているレスキュー用ソリを用いての自力救助を試みます。
無理なら携帯電話で白銀荘(0167-45-3251)(*3)や警察署(旭川東警察署:016634-0110)へ連絡し救助を要請します。
負傷者が意識不明であったり、出血多量の場合などには、即座に救助してもらう必要があるためヘリなどの出動を要請します。
ヘリの誘導には、GPSによる緯経度情報を用います。ヘリを見つけたら着衣などを頭の上でグルグルと振り回して遭難者だというサインを送ります。詳しくはエアレスキューの極意を参照してください。
5.レスキューソリを用いた救助を行う際には、白銀荘へ最低二名がソリを取りに行くために下山します。残りのメンバーは負傷者の側で待機します。下山組は、携帯電話や無線機などにより、待機組との連絡手段を確保するように務めます。
6.白銀荘の管理人へ事故の状況を伝えてから、二名でレスキュー用ソリを負傷者が待機して地点まで持ち上げます。
7.待機組と合流後、負傷者をしっかりとレスキュー用ソリに固定し、ソリを前方で引く担当と後方でブレーキをかける担当に分かれて、下山を開始します。
ブレーキをかける担当は、状況に応じてツボ足になったり、斜度に応じて人数を増やします。
人数に余裕がある場合には、一名前方へ偵察に出して、最適な下山コースを指示させます。
8.下山後、病院へ連絡・搬送します。


雪崩に遭遇した場合
三段山のノーマルルート上でも雪崩に遭遇する危険性があります。できるだけ雪崩の予見に努めますが、
それでも雪崩に遭遇した場合に備えて、以下の書籍を一通り読んでおくことをお勧めします。
●『山岳ユーザーのための雪崩リスク軽減の手引き』 体裁:B5版・96頁・2色刷 著者:出川あずさ/池田慎二
 特定非営利活動法人日本雪崩ネットワーク 発行:東京新聞 定価:1600円(本体1524円+税5%)
●『雪崩リスクマネジメント』 体裁:A5版 280頁 著者:ブルース・トレンパー 翻訳
 特定非営利活動法人日本雪崩ネットワーク 発行:株式会社山と渓谷社 定価:1800円+税
もお勧めです。


他パーティの方で、同じ山域でトラブルに遭遇することがありましたら、遠慮なく私たちに声を掛けてください。救助に協力します。


(*1)必要最低限の装備とは、常識的な冬山装備に加えて、特に以下の個人装備を含めます。
シャベル、雪崩ビーコン、ゾンデ棒、目出帽かフェイスマスク、ゴーグル(サングラスは不可)、携帯電話(PHSは不可)、細引き3mm×10m、スリング1.5m×一本、ザイル6mm×10m以上、カラビナ3個、ステン針金径0.5mm以上×5m(推奨)、ペンチ、秀岳荘ゴムバンド60センチ×5本以上(スキーソリを作るため)
ツエルト、ホカロン(貼り付けるタイプ)×6個(低体温症対策)
簡易ハーネス(2.5〜3mくらいの8mmザイルを輪にしたもの)、カラビナ2個、ヘッドランプ、非常食料、各種予備装備
(シール、手袋、靴下、ゴーグル、電池、メガネ(コンタクト使用者も含む))
私は、上記の装備の他に共通装備として、GPS、添え木、救急セット、10mザイル(8mm)、シュラフカバー、無線機、雪崩エアバッグを携行しています。これらはできるだけ各自でも携行してください。

(*2)雪崩講習会例:「雪崩事故防止セミナー」北海道雪崩事故防止研究会
http://www.assh1991.net

(*3)緊急連絡先
この区域の警察の管轄は旭川東警察署(0166-34-0110)となります。
近場の連絡先は山域によって異なります。
三段山、前十勝、十勝岳方面は、白銀荘(0167-45-3251)
上ホロ、三峰山、安政火口、富良野岳方面は、稜雲閣(0167-45-2572)
富良野岳ジャイアント尾根入り口付近はバーデンかみふらの(0167-45-2225)
翁コース付近は、カミホロ荘(0167-45-2970)
これらの電話番号は事前に携帯電話に入れておくと安心です。


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