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2009年4月5日(日)
三段山スキーツアー(雪崩誘発)

天候:曇のち雪
気温:2〜4度
風速:無風〜3m
雪量:十分
雪質:ハードバーンの上に10センチほどのウィンドスラブ
コース:白銀荘(9:10)〜(11:17)北壁1,615m(12:05)〜白銀荘(12:53)
メンバー:大西、ぱっちまん、田中パパ、田中ママ、kinpeiさん、タカヤ、naokiss,
takahasiさん Mix 計8名+1犬
雪崩発生地点

北壁で二回雪崩に遭遇した。
当日は雪質が悪く、視界が悪くなることが予想されたのでピークを目指さずに滑降場所を北壁(1600m付近)に設定。
北壁は風下で十分な雪が堆積しており、コンディションは一見良好そうだった。斜面に入ったところで弱層テストを実施したところ、掘るだけで-10cmの位置でせん断した。非常に密度の高いウィンドスラブだった。
雪崩の危険性が大変高いと判断したが、せん断位置が浅いこともあり、さらに稜線直下でスキーカットを実施。
20m程滑ったところで、スキーヤーの上部1m程から長さ25m,高さ20〜30cmの厚みで破断。スキーヤーは1m程流されたが無事。
スキーヤーは、ツボ足で進入ラインから稜線に戻った。
その後、1回目の雪崩が発生した稜線よりやや高度を下げた地点で、北壁へ降りた犬が稜線へ復帰する直前で雪崩を誘発。犬は無事。

スキーカットは、雪崩エアバックを装着し、他のメンバーに見守られながら慎重に行われたが、結果的にスキーヤーより上部で発生した雪崩により1m程流されてしまった。
現場の雪は不安定で二次雪崩の危険性があったため、詳しい積雪観察が行えなかった。

雪崩1 表層雪崩
発生日時:2009/04/05 11:41:44
発生地点:三段山 北壁 北斜面
緯度43°25'01.30", 経度142°39'48.01", 標高1595.4m,発生区の斜度約45度
破断面:幅25m,破断面高さ20〜30cm
雪崩の破断面からデブリ末端まで:標高差約135m,水平距離約214m,沿面距離約246m
原因:スキーヤーによる誘発(スキーカット)
被害:スキーヤー一名が遭遇。1m程流されたが埋没無し
弱層テスト:
スキーカット前の発生区でのシャベルコンプレッションテストの結果
-10cmに評価5(掘るだけでせん断) 
昨日から今日にかけて形成された密度の高いウィンドスラブ部分が雪崩れたと推測される。当日は気温も高かった。

雪崩2 表層雪崩
発生日時:2009/04/05 12:02
発生地点:三段山 北壁 北斜面
緯度43°25'01.81", 142°39'46.19",標高1588.7m, 発生区の斜度約45度
破断面:幅約40m,破断面高さ不明
雪崩の破断面からデブリ末端まで:標高差約108m,水平距離約190m,沿面距離約220m
原因:犬の歩行による誘発
被害:無

 


富良野岳の様子

Optio W60


稜線は風があるようだった
Optio W60


白銀荘前にて
kinpeiさんの新板で盛り上がる

目的地を三段山とする

出発準備

入山口
前十勝がきれいに見えた

一段目

二段目
雲が多くなってきた

二段目上

時々薄日が差す中を登る
撮影:タカヤ


三段目へ


視界不良
山頂には向かわず、北壁を目指す
撮影:タカヤ

北壁に到着

滑降準備

斜面のコンディションは良さそうに見えた
Optio W60

視界も良い

シャベルコンプレッションテストを終え、
スキーカットに向けて雪崩エアバッグの準備中
撮影:タカヤ


スキーヤーの上部1メートルから雪崩誘発
転倒して1メートル程流された
撮影;kinpei


破断面を見上げたところ
厚みは20-30cm
Optio W60


発生区の斜度は40〜45度
Optio W60

雪崩の全景
デブリがほぼボトムまで達している
(傾きを補正した)撮影:タカヤ

斜面への進入ルートから坪足で引き返した
撮影:タカヤ

二度目の雪崩発生、トリガーはMix
一度目の雪崩より幅が広い

東谷から滑降して帰還
滑降に際してハンドテストを実施、-10cmに評価3
スキーカットと併せて滑降可能と判断した


ウィンドパックとサンクラストが混じる難しい雪質だった















kinpeiさん
新板は悪雪に強かった


東谷を振り返る

この後急速に天候が悪化
アラレが降り、視界がほとんど無くなる

ぱっちまん
雪崩直後のビデオ映像
sandan-avalanche.wmv(4.7MB)



問題点・反省点・留意点:
1.判断
弱層テストを実施した時点で、北壁へ進入せずに引き返すべきだった。スキーカットは無用なリスクだった。
2.スキーカットの手法
滑降角度を充分に取り、雪崩から逃れられるスピードで行うべきだった。
3.ウィンドスラブは場所によって厚みがかなり変化する事に留意する必要がある。
4.体重の軽い犬でも雪崩を誘発する。
写真は、SONY HDR-XR500の動画からの切り出し,PENTAX Optio W60,タカヤのNicon D50,kinpeiさんのolympusμTOUGH-8000

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