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2004年1月19日(月)
前十勝スキーツアー(Qaliバックカントリーツアー同行取材)

今日は”ぱっちまん”が主催する「Qaliバックカントリーツアー」に同行取材させていただいた。
お客さんは、旦那の友人でアメリカ帰りの”くまちゃん”CMH(カナダのヘリスキーツアー)も経験しているテレマーカーだ(ただし、BCでのシール登高経験は無し)。

まず、白銀荘駐車場でブリーフィング、入念な装備点検を行った後、出発!
この時点での天候は快晴。まず三段山の途中まで上がってから前十勝方面へ滑る。樹林帯では極上のパウダーランを楽しめた。ここは旦那も知らないルートだった。ぱっちまんが時間をかけて独自に開拓したものらしい。
休憩中や行動中の、ぱっちまんのガイド・トークは楽しく、笑いが絶えない。
その後、前十勝方面へトラバースして正面スロープを登っていく。視界が良く遠方の旭岳までくっきり見えて、ついその美しさに見とれてしまう・・
雪煙の舞い上がる三段山や美瑛岳の稜線も美しい。しかし、稜線上の雪煙は悪天候の前触れ。案の定カバワラを越えたあたりから風が強くなってきて、すぐに地吹雪模様となった。
ここで凍傷を防ぐために全員が目出帽を被る。この山域では目出帽やフェースマスクは必需品だ。
困ったことに今日は風向きの関係で噴煙が斜面沿いに降りてきて息が苦しい。時々咳き込む。
厳しい環境だが、これがリアルな十勝山系の姿だ。美しく厳しい・・旦那が十勝山系が好きな理由だ。
なんとか正面スロープの中腹まで到達したが、さらに風が強くなり登山の続行が難しくなってきた。当初の予定より早く、ここから滑降開始。
滑り出しのコンディションは、浅いパウダーの下にシュカブラがあり、ウインドパックされた雪に板が引っかかりやすい状態。ぱっちまんは、少しでもコンディションの良い斜面を求めてトラバースしながら降りてくれたのだが、旦那もくまちゃんも何度か吹っ飛ぶように転んだ。
カバワラ付近から下では風も収まり、快適なパウダーランを楽しめた。
樹林帯まで降りると風はぴたりと止み、そこでゆっくりと昼食を取ってから帰還。

絶妙なルート取りのおかげで、とても楽しめたツアーだった。途中から急変した天候だけが残念だったが、悪天候を予想してすぐに柔軟に対応するあたり、さすが十勝山系の事を知り尽くしたぱっちまんだと思った。
楽しさと信頼感のあるツアー、プロのガイドの仕事です。
http://www.bc-qali.com/
皆さんも是非(^_^)。

天候:晴れ後地吹雪
風速:0〜15メートル
気温:-15〜-10度
雪量:不十分
雪質:20センチの重めパウダー〜ウインドパック〜シュカブラ
コース:白銀荘〜三段山一段目〜前十勝中腹
メンバー:ぱっちまん(Qali代表 山岳ガイド)、くまちゃん、旦那(取材) 計3名


うぉーっ!快晴!!
十勝連峰から大雪山連峰まで全て見えます

今日のツアーの目的地、前十勝。たなびく噴煙が俺たちを招く

白銀荘駐車場
ここでぱっちまんと合流

事前ブリーフィング
地形図でルート説明

雪崩ビーコン、無線機、GPSなど・・
各種装備を点検

特に雪崩ビーコンのチェックは入念に。

テレマークを装着して、いざ出発!

まずは、前十勝の手前に見える一段目を目指す

休憩の度に、ぱっちまんのガイドトーク?が炸裂!森に笑い声がこだまする

深いラッセルをしていくぱっちまん
お客さんを育てる主義のぱっちまんは、貴方の力量に合わせてラッセルを替わってくれるゾ

樹林の中のパウダー斜面を滑るくまちゃん
ここには、ノーマルルートからは隠された素晴らしい斜面があった!

滑降を見守るぱっちまん
安全なツアーをモットーとする、ぱっちまんの優しくも厳しい眼差し

前十勝方面へトラバース
素晴らしい景色

ノートラックの雪原を歩く

再び気持ちの良い斜面を滑降
このへんの身軽さは、テレマークスキーならでは

前十勝の麓で休憩
お茶を飲んだり、行動食を食べたり・・時には貴重な静寂を楽しむ

さあ、いよいよ本命の前十勝へ出発

通称「カバワラ」を進む

山の天候は変わりやすい。急に地吹雪に見舞われる

厳しい自然と天候、しかし美しい

強風に耐えながら高度を稼ぐ。ここが根性の見せ所

正面スロープの中腹
ここを本日の最高到達地点とする。ピークには拘らない臨機応変さが売りだ

視界は良いが、冷たい強風が吹き荒れている。あまりゆっくり休憩はできない

ぱっちまん
完全な防寒装備で余裕しゃくしゃく

くまちゃん
目出帽が、見る見る氷結していく

GPSで現在位置を確認
最新装備も自慢

おっと!ここでツアーの予約の電話が入る。「大自然が俺のオフイスさ」

滑降準備完了
自分の滑るライン思い描きながら斜面を見つめる

滑降開始!
先頭でコースを示しながら滑っていくぱっちまん。上手い!

パウダーを吹き上げる、くまちゃん

憎たらしいほどに悪雪に強いぱっちまん。格好いいゾ!

くまちゃん
行け〜!

くまちゃん
深々と転ける!

転けても嬉しい!そう、それがBCツアーの醍醐味。どんどん転んでパウダーを楽しみ尽くそう

吹雪の前十勝から、手を振って滑り降りてくる、くまちゃん

さあ最後の斜面だ、ぱっちまんが直滑降でぶっ飛ばす!

くまちゃんは、そんなもったいないことはせずに、テレマークターンを楽しむ

風の無い樹林帯で昼飯
天気さえ良ければ、今頃前十勝の最高のロケーションに居るのだが・・だが、これも自然相手のツアーの宿命だ!乾杯!

握り飯を頬張る、くまちゃん
静かで豊かな樹林帯の中での食事は、また格別

Qaliツアーのコンセプト(このページの下に記載)を熱く語るぱっちまん

この樹林帯を越えると、すぐに白銀荘だ。時折枝から雪が舞い落ちる

白銀荘へ到着
何時もホッとする瞬間

「もー最高っすよ!」感激の面持ちのくまちゃん。
「CMHのツアーよりもGoodな雪でした!」うんうん

再会を誓い、熱い握手を交わす二人。この後は白銀荘の露天風呂へドボン!
&ビールで乾杯だ!

Qaliツアーのコンセプト:
毎日表情を変え、1日の中でも色んな性格を見せてくれる。
日々、この白いものが気になり、この手で触れてみる・・・
ふわりと。
日本には煌びやかな四季があるからこそ、冬の静寂と光の世界に心が奪われ、こどものように粉雪にこの身をダイブさせてしまう。
時には真っ白な大斜面に1本のラインを描く為に。
時には野生動物のごとく、森を駆け抜ける・・・
神の領域のかけらになるがごとく。
イメージと実体が重なった時、全ての音は聞こえなくなる。
そんな瞬間に出会うために、日々山の神に語りかける。
そしてそこに忘れてはいけないもの。
その瞬間を分かち合える仲間の笑顔・・・

山は、そして雪はいろんなことを我々に教えてくれます。
喜び、悲しみ、自分自身、友人、命・・・そして1日として同じ表情ではない景色。
そんな自然と向き合うからこそ楽しいのです。
自らが自然の一部になれることを感じていただければうれしいですね。
そして自らの足でどんどん山で遊べるようになって欲しい。

by ぱっちまん

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