2001.4.21(土)
富良野岳ジャイアント尾根 「滑落じゃなくて滑降しないと!」 メンバー:旦那、スー、K藤、佐藤 マロリークラブ:K藤(山S)、まっき〜(山S)、うらりん(山S) 途中合流 NAB:I橋、U田 合計9名 |
快晴だけど、風が強めの富良野岳。 三段山クラブ、マロリークラブ、NAB(ノーザンアバンチュールボーイズ)という、恐怖のユニットがベベルイ沢への大滑降に挑む! |
結果:ジャイアント尾根上1700メートル地点へ到達 天候:快晴 風速:0〜6メートル 気温:-2〜+4度 雪量:十分 雪質:森林限界より上はアイスバーン、樹林帯はバーンの上に薄いパウダー 風邪気味〜喉が痛くて微熱がある。前日ギリギリまで寝ていようかと思ったが、21日は快晴!行かねばなるまい。 少し遅れ気味に白銀荘へ到着すると、すでに三段山クラブ員達はスーさんのワンボックスカー「三段号」の中で、優雅にお茶している最中だった。いい余裕っぷりだ。 そのうち、過激山スキー軍団「マロリークラブ」も到着し、出発準備完了。 目的地は前十勝だ。ったのだが、上空の雲の動きを見ているうちに迷いが出てきた。 上空はかなり風が強そうだ。前十勝は地形の関係で風が強いと雪がウインドクラストしやすい。全員はアイゼンを持っていないので、かなり行動が制限される可能性がある。うーん。悩む。 悩んで悩んで・・・やっぱり富良野岳にしよう。目的地変更! 来る途中で見た富良野岳ジャイアント尾根は、とてもコンディションが良さそうだった。もし尾根上がクラストしていても谷筋や樹林帯には良い雪がある可能性が高い。 出発しようとしていた皆に詫びながら、急遽車に分散乗車してバーデン上富良野へ急いだ。 10:35 砂防ダム付近出発 晴れ時々曇り 気温3度 風速3〜4m いつものように、バーデン上富良野前の道路沿いに車を駐車し、スキー板を担いで登山口となる砂防ダムへ向かう。ベベルイ沢川付近はかなり雪解けが進んでいて水量が増していたため渡渉に多少難儀したが(写真1)、皆ブーツに浸水することなく無事通過。いよいよ尾根へ取りつく。 樹林帯の中の雪は、比較的締まっていて登りやすかった。 ただ、暑くて息が上がる。例によってベベルイ沢の滝で休憩したが(写真2)、北尾根を滝より上部へ詰めて通過してからジャイアント尾根へ向かった方が効率が良さそうだ。 なにしろ、滝付近は傾斜が強くて登りで難儀する。 11:45 1,170m地点、樹林帯の中 晴れ 気温0度 無風 登りやすい雪質だと、ついペースが上がってしまう。離れてしまった後続を待ちながら大の字になって寝ころんでみる。見上げるとダケカンバに付いた樹氷が風で舞い落ちてきて、まるで桜の木の下で花見をしているような気分になる。バックの空は抜けるように青い。ここで休憩(写真3)。 このあたりで、NAB:ノーザン・アバンチュール・ボーイズ(過激テレマーク滑降集団だが、また改名したらしい・・)から携帯へ連絡が入り、これより富良野岳ジャイアント尾根を登るとのこと。あの過激な滑りが見られるのかと思うと嬉しくなる。 樹林限界で、旭川山岳会の山スキーヤー達とすれ違う。彼らは尾根沿いに滑降していったため、幸い谷にはシュプールはほとんどない。ここから雪質は徐々にクラストしてきた。 早くもNABのI橋さんとU田さんが我々に追いつき、撮影の打合せなどを行う。 彼らはホコ岩付近からベベルイ沢へ滑降するという。この領域になると、もはや三段山クラブの技量では一緒に滑降するのは難しい(っていうか無理)。尾根上の雪は堅く、登ることすらアイゼン無しでは難しそうだ。 彼らは二人ともSALAOMON AK ROCKETを履いており、大層気に入っているとの事。 AK ROCKETは、極太でカービングがあまりきつくなく、柔らかい板だ。シールも極太なのでグリップがよく効き、登りが楽だという。 さて、アッと言う間に我々を追い越していったNABを尻目に、鯉のぼりなぞを掲げておめでたいマロリークラブ(写真4)。実に三段山クラブと波長が合う。 標高1,550m付近で、危険な程クラストしてきたため、一応ここを到達点とした(写真6)。 あとは、オプションとして希望者のみ富良野岳が見えるあたりまで尾根を詰めてみることにする。 旦那、K藤、スー、K藤(マロリー)でガリガリの斜面にステップを切りながら、なんとかホコ岩のある尾根へ上がってみた。尾根上はハイマツが絨毯のように茂っていて歩きずらい(写真7)。 13:40 1,700m地点、ホコ岩付近 晴れ時々曇り 気温-2度くらい 風速5〜6m おお!絶景かな。 十勝岳方面の景観も素晴らしいが(写真8)、この方向からの富良野岳はめったに見られないだろう(写真9)。この尾根には夏道が存在しないので、まさしく冬にしか見られない風景だ。 雲の落とす影が、足早に富良野岳の山肌をなめていく様に見とれてしまた。 ベベルイ沢は上から見るとこんな感じ(写真10)。斜度30度オーバーの斜面はアイスバーン状態になっているので、転ぶと(転ばなくても)滑落の危険性がある。ビビっているとホコ岩からNABも降りてきた。今日は雪質が嫌な感じなので、少し標高を下げてから滑降するとのこと。うんうん。 1,650m付近から、NABと我がクラブ特攻隊長のスーさんが滑降開始(写真11)。かなり手強い雪質らしく、スーさんはいきなり滑落(写真12)。 滑降距離より滑落距離の方が長そうだ(お尻に穴が開くかと思ったそうだ)。 他の隊員も、1,550m地点付近から次々と滑降したり滑落したり(写真13〜16)。 NABはさすがにうまいもんで、クラスト〜ザラメ〜パウダーの混じったバーンをかっ飛ばしていく(写真17,18)。実に格好いい。 ありがたいことに谷底近くの斜面にはパウダーが残っており、気持ちよく滑ることができた(写真19〜22)。 一気にベベルイ沢を滑降したり滑落した後は、NABのアドバイスに従って、ジャイアント尾根へ戻らずに北尾根を越えて三峰山沢へ降りた。ところが、その斜面が43度の樹林帯(^_^;)。 さすがNABだ、手強い斜面へ案内してくれる。で、そこを滑降している様子がこれ(写真23〜27)。雪が良ければ楽しい斜面だったかもしれないが、あいにくと今日は堅いバーンの上に5センチ程度のパウダーが乗った状態で、転ぶと止まらない。 ちなみに私は20メートルくらい滑落した。迫り来る木を避けながらの滑落はスリリングだったなあ。 スリル満点の滑降を終えて、三峰山沢の川沿いに渡渉地点へ向かう(写真28)。バックには真っ白な三峰山が見える。NABは三峰山のカール状斜面も滑降しているそうだ。 15:16 バーデン上富良野 晴れ 気温4度 無風 はあー、無事に着いた。お互いの滑降(滑落)ぶりを称え合った後、白銀荘の前で焼き肉会を開催(写真29)。 皆腹ぺこだったらしく、アッと言う間にお肉は品切れ。なぜかビスケットを焼いて食べていた(写真30)。 感想: 悲願のベベルイ沢を最後まで滑降することができて感無量です。 これも、NABの皆さんのおかげでしょう。 マロリークラブの方々にもお世話になりました。またこの恐怖のユニットで動きたいものです。ああ、今回は過激だったなあ・・・満足。 注意)GPSでの軌跡ですが、カメラマンである私の軌跡なので滑降ルートは正確には反映されていません。 |
||