2001.4.7(土)
前十勝
ついに正面スロープ開拓
メンバー:旦那、ゆきこ、長老、佐藤、おけい、キ、K藤、
N川夫妻(山S)
合計9名
長年の懸案だった、前十勝正面スロープ(勝手に命名)を開拓できた。カバワラ尾根(勝手に命名)も素晴らしい。もちろん焼き肉も堪能し、欲張りなツアーであった。
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左:GPSトラック付きマップデータ(赤:上り、青:下り)、中央:3D俯瞰図
右:正面スロープ滑降図(赤:滑降ルート)


写真1 
前十勝ツアー
結果:登頂成功
天候:あきれるような快晴
風速:無風
気温:5〜0度
雪量:十分
雪質:締まり雪、望岳台付近はダメ雪
コース:白銀荘〜前十勝

もう、全道的な快晴の予報。この日に動かずして何時動くのか?
快晴時には前十勝でしょう。
私と嫁はテレマークブーツ用アイゼンとヘルメットデビュー。さあ、新装備で飛ばすぞー!!

9:50白銀荘前出発
天候:快晴 無風 4度
抜けるような青空の下、噴煙をたなびかせる前十勝がよく見える(写真1)。雪の状態だけ(サンクラスト)が心配だが、まあこればっかりはなるようにしかならない。宿泊組の長老やN川夫妻と予定通り合流し出発。
焼き肉3キロ、ストーブ、焼き肉プレート、ビール大量、宴会装備も完璧だ。
樹林帯で、何人かがシールに雪が付くトラブルに見舞われた。この時期の湿雪では良くあることなので、事前にシールワックスを塗っておこう。

樹林帯を出てからは、十勝岳本峰へ向かっているトレースを辿り、良いペースで望岳台を進んだ(写真2)。幸い岩地雷は発見が容易になっている。途中でスノーブリッジを通過した川は、先週よりも確実に雪の下からの水音が強くなっていた。
Tシャツで登りたいほど暑く、日差しが強い。日焼け止めは必須だ。

ボウル状の谷に入り(写真3)、ジグを切りながら前十勝の火口を目指した。しだいに噴煙が間近に迫ってきて、ダイナミックな噴煙の動きに圧倒される(写真4)。それにしても、紺碧の空と白い噴煙のコントラストが美しい。


長老が厳選した、コースから少し外れた見晴らしの良い場所(写真5
)に焼き肉地点を定めて、そこへ食料や装備の一部をデポした。食料はキツネを警戒して雪の中へ埋設する。ビールも埋設してよく冷やしておく。

ここからクラスト気味の尾根へ登り(写真6)、偽ピークへ至る。

12:27 偽ピーク(1690m)
スキーデポ地点
天候:快晴 無風 0度
麓からはピークに見える偽ピークへ到達。ここから上は氷と岩だらけなので、スキーで動けるのはここまでだ。
スキーをデポし、アイゼンを付けようとしているときに、突然足元の雪面が抜けて腰まで埋まってしまった。たぶん地熱で雪の下のあちこちに空洞ができているのだろう。穴を覗いてみると2メートル以上の深さがある。くわばらくわばら。単独行で底まで落ちたら、這い上がれないかもしれない。

ここからはザックとポールだけを持ってピークへ(写真7)。アイゼンをもたない者はキックステップを切りながら登ったが、滑落するほどではなくても、
転倒する危険性は十分ある斜面だった。
嫁のアイゼン(アルミ製10本爪ワンタッチアイゼン GRAMPON G10L)は、装着性に難があるが十分使えて軽い(写真8)。
私のカジタックス 10LWは、装着性がとても良好なうえ、スチール製なので遠慮無く岩を踏めて助かる。重たいことだけが難点だ。

12:55-13:10 前十勝山頂(1778m)
天候:快晴 風速1〜2メートル 0度
三段山を見下ろせる稜線へ到着(写真9)、あぁー十勝連峰が美しい・・・
あちこちで雪が太陽光を反射して光っている。三段山の山頂に居る人達や、富良野岳がよく見えた(写真10)。
三段山の山頂へ向かって、大声を出したり手を振ってみたが反応なし。

稜線からさらに少し登って前十勝山頂(写真11)へ。ここからは十勝岳山頂が間近に見える。すぐに行けそうだが、ルートはS-62II火口へ崩落しそうで危険だ。ここから先は明らかに立ち入り禁止区域だろう。稜線は地熱で雪が溶け、岩がむき出しになっていた。
しばし、ビールを飲んだり噴煙を見下ろしてまったりさせてもらう(写真12、13)。嫁もビール片手にGiroのメットを被ってご機嫌だ。

さて、あまり長居して噴煙に巻かれても嫌なので、足早にデポ地点へ戻り、さっそく滑降開始!
S62-II火口をバックに滑る(写真14)。
登りで苦労した尾根の上部は、締まっていて滑降しやすい雪質だった。そうと解ればGO
!(写真15〜17)
ついでに雪庇も飛ぼう!(写真18、19)
いやあ、これは楽しい!
...あっ!遙か下方の焼き肉埋設地点にキツネ発見!ただちに急行して排除せよ!(写真20)
うーん、キツネはどこにでも現れるのね。

13:40-15:03 1565m 焼き肉地点
天候:快晴 無風 3度
キツネを無事追っ払い、焼き肉開始(写真21、22)。
牛タン、豚タン、サガリ、ホルモン、トントロなどなど・・ビールがうまい!ああ旨すぎ・・・・・気が付いたら私はビールを1.5リットル空けて足下がふらついていた。これはヤバイ、すっかり酔ってヘラヘラ笑いながら撤収。

赤ら顔の嫁の、「ねえ、この辺で昼寝していかなぁい?」とかいうダイナマイト・ジョークを右の耳から左の耳へ通過させて、一行はトラバース地点へ向かった。
ここから西へトラバースして今回の初挑戦の正面スロープへ向かうのだが、息が上がり足も上がらなくて苦労した。これはアルコールのせいだ。
トラバースする斜面は岩が多いのでツボ足になる(写真23,24)。このあたりは雪が柔らかく、アイゼンが必要なほどではない。

15:15 トラバース完了 正面スロープ滑降
見るからにおいしそうな斜面に到着。
白銀荘から見ると前十勝の正面に見えるスロープなので、勝手に「前十勝正面スロープ」と名付けた。
ロケーションは最高!20度くらいの斜度の谷状斜面を、望岳台の大雪原とその向こうに見える雄大な上富良野の平野へ向かって滑降できる。

いよいよ富良野岳をバックに滑降する面々(写真25〜30)。雪は締まっていて滑りやすい。が、油断すると「妖怪板掴み」が出てくるので、要注意だ。

正面スロープの下部の尾根は、何故か(おそらく前十勝の火山活動のため)ダケカンバが立ち枯れした林になっている(写真31)。野付半島のトドワラのような状況なので、ここも勝手に「カバワラ尾根」と名付ける。もう好き放題だ。
さて、そのカバワラだが滑ってみるととても楽しい。木にぶつからないようにするのが精一杯だったという人も居るが、葉がない分だけ見通しが良いし枝に引っかかる心配も無いので、通常の樹林より気が楽だろう。端から見ていると、まるでポール練習をしているようだ。
そして、立ち枯れしているダケカンバが造形的に美しい。まるで屋外彫刻の中を滑っているような気分になる(もっとも滑降中はそんな余裕は無いが)。

私がカバワラの下から撮影の合図を送って、順に降りてきてもらったのだが、後半になると何人かが合図を送ってもさっぱり降りてこない。
なんと、順番を待っているうちに酔っぱらって寝込んでしまっているのだ!
あれはダイナマイトジョークじゃなかったのか!?「起きろー!!!」
声を枯らして呼び続けてやっと降りて来たが、見るからに足下がおぼつかないご様子。
ヘロヘロになって転びながら降りてきたのは・・・・やっぱりうちの嫁だ!
うーん、なさけな・・いやいや、立派な山女に育ったものだ。うれしくて涙がでる。

16:18 白銀荘到着
天候:快晴 無風 5度
例によって、最後は腐った雪のダラダラ斜面をダラダラ降りて帰還。
白銀荘からは、我々のシュプールが正面スロープに刻まれているのが見える。
さあ、露天風呂へ急ぐのだ!そして、露天に浸かりながら日本酒を啜り、自分のシュプールを愛でるという、長年の夢を達成するのだ!

・・・シュプールは、どれが自分のものだかさっぱり判りませんでした。露天風呂はお酒持ち込み禁止でした。そのうち日が暮れてきました。

感想:
正面スロープからカバワラ尾根へと続く大斜面を一気に滑り降りるのは、爽快の一言に尽きます。
それにしても、今回は飲み過ぎた・・・暑くて焼き肉がうまいとなると、もうまったく理性のスイッチが機能しませんね。考えてみると厳冬期でもビールを飲んでいる馬鹿者達(誉め言葉)ですから・・・ちなみに、飲んだ量は私のビール1.5リットルが一番多いと思います。一昨年は同じ場所でワインを一本イッキ飲みしていましたが(^_^;)。
でも、山の中で寝込むのだけは勘弁してね。

写真2 

写真3 

写真4  

写真5 

写真6 

写真7 偽ピーク〜ピークへ

写真8 アイゼン

写真9 

写真10 三段山&富良野岳

写真11 後方は十勝岳

写真12 前十勝山頂

写真13 GiroGiro団


写真14 S-62II火口

写真15 


写真16 

写真17 
写真18 1680m 
写真19 鳥人長老
写真20 焼き肉地点へ急行
写真21 1580m地点
写真22 焼き肉〜

写真23 トラバース

写真24 

写真25 正面スロープ

写真26

写真27

写真28

写真29

写真30

写真31 カバワラ尾根

写真32 カバワラ
写真33 カバワラ

写真34

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