2001.1.21(日)
十勝岳
「板っこ一枚下は地獄」
メンバー:旦那、キ、スー 合計3名
「ゲゲ、ゲートが閉鎖されとる!」から始まった幸先の良くないツアー。
ホワイトアウト&地雷でグッドバイ。
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GPSトラックデータ付き山行マップ

俯瞰図
高度断面図(下り)

写真1 くそゲート
結果:標高1531M地点で撤退
天候:雪、視界悪し
風速:0〜3メートル
気温:-5〜-15度
雪量:避難小屋から上は十分。避難小屋〜望岳台間は地雷(岩)注意
雪質:15センチ程度の浅パウダー
コース:白金温泉〜望岳台〜十勝岳

今回は天候が悪そうだったので、デポ旗てんこ盛り。漁師テレマーカー達から、白銀荘〜十勝避難小屋間は岩が出ていてやばいと聞いていたので、望岳台から登ることにした。
実はチトカニウシと迷った末の十勝岳山行だったが、吉とでるか凶ととでるか・・凶とでました。

9時40分 白金温泉
天候:曇り 無風
望岳台へ10時集合の予定だったが、なんと白金温泉から上は通行止め(写真1)。昨年までは通年開通だった筈。まったく初耳で驚いた。
銀瑛ゲート横の看板(写真2)にはこう書いてある。
冬期間通行止め 十勝岳温泉美瑛線
区間 白金温泉から望岳台
期間 平成13年1月16日から4月20日まで
問い合わせ 旭川土木現業所 事業一課 0166-26-4461
困ったものだ。利用者が少ないということだと思うが、登山者はもちろん十勝岳を間近に見たい観光客も多いだろうに。いやいや、とりあえず私たちはこれからどうしたらよいのだ?仕方ない、歩こう。
この時点で十勝岳登頂の見込みは吹き飛んだ。わはは。

10時10分 望岳台遊歩道
ゲートをくぐって車道を詰めることも考えたが、ゲートから少し下ったところにある望岳台遊歩道を登ることにした(写真3)。以前は十勝岳スキー場からの林間コースだったところなので、快適な滑降ができるかもしれないと思い、その下見のためである。
で?このコースはどうだったかというと、ひたすらだるいコースであった(写真4)。滑降も楽しめそうにない。
コースは何故か良く整備されていて歩きやすかった。たまたまかもしれないが・・
かなり雪面が堅かったので、スーさんはスキー板を担いで登る。

11時20-33分 望岳台
天候:小雪、風速1〜2m、-4度
おおよそ4キロ近くの道のりを歩いてやっと望岳台へ到着(写真5)。あー疲れた。歩くスキー大会じゃないんだから・・・これで、予定より一時間以上もロスしてしまったことになる。
小休止して行動食をほおばりながらあたりを見渡すと、レストハウスが閉鎖されていて、あたりはひっそりと静まりかえっていた。しかし、ここへ至る道は結構綺麗に除雪されているのが不思議だ。なんで?
ここからは視界が急速に悪化してきた(写真6)。
それと・・・岩が潜んでいる。薄い雪に多くの岩が隠れていてとても危険だ。
元スキー場のコース上を通れば、安全だと思ったのが間違いだった。帰りが思いやられる。

12時46分-13時45分 十勝岳避難小屋
天候:雪、風速1m、-10度
「方位143度482メートル先へ!」(写真7)なーんてやりながら避難小屋に到着(写真8)。ホワイトアウトの中でGPSとコンパスを頼りに避難小屋を探すのは、結構おもしろかった。
50メートルくらいまで近寄らないと避難小屋は視認できなかったので、GPSが無かったらたどりつけなかったかもしれない。
小屋の中でスーさんからカップラーメンを頂き楽しい昼食。ごちそうさまでした。すでに登頂はあきらめているので、のんびりと固形燃料で暖を取ってから再出発(写真9)。

14時28分 1531メートル地点
天候:雪、風速2m、-15度
デポ旗を打ちながら急斜面を詰めたが、視界はさらに悪化。少し平坦な場所を見つけてここからの撤退を決定する。これ以上遅くなると時間的にもまずい(じゃあ、もっと早く動けって・・)。
雪質は良好。堅目のバーンの上にパウダーが15センチ程度乗っている。
結構な急斜面を滑降する面々(写真10〜12)。視界以外はとても好条件な滑降であった。しかし避難小屋の手前で私は巧妙にカモフラージュされた岩に触雷!転倒。
さらに、避難小屋から下は(泥流スロープと呼ばれているらしい)地雷だらけ。
怖くてスピードが出せない。いや、どんなに慎重に滑降しても触雷する。
十勝岳行きを決めた責任もあるので、私はなるべく先頭を滑って掃海艇の役目を担うことにした。
岩にぶつかるたびに悲鳴を上げて警告する。「ガリッ!(岩がソールを削る音)あーん、岩〜!」「ガリリリッ!うううう、また岩だ〜!」ってな感じ。

15時07分 望岳台
天候:雪 無風 -10度
やっと地雷原を突破して望岳台へ着いた時には、私の精神も買ったばかりのスキーもズタボロ。板は芯材まで穴が空いてしまった。

15時37分 白金温泉
天候:くもり 無風 -10度
望岳台からは、しばらく閉鎖された車道を下ってみた(写真13)。が、あまりにも傾斜が足りなくて滑らないため途中から望岳台遊歩道へ(写真14)。
ゆるーい遊歩道で滑りは楽しめなかったが、車道より少しましだった。
最後にゲート付近で無理矢理車道へ降りて、おしまい(写真15)。
すでに周囲は少し薄暗くなっていた。お疲れさまでしたー。
ゲートの向かいにある白樺荘は日帰り入浴が300円と安い(そのかわり、シャンプーはおろか石鹸すら無い)。ちなみに白樺荘で通行止めの事を聞いたら、主人も知らなかった(オイオイ・・目と鼻の先の事だぞ)。
近くに露天風呂のあるペンションができたので、今度様子を見に入ってみたい。


感想:
通行止めと岩地雷で二重苦の十勝岳。雪が十分に積もるまでは(3月以降?)ここへ来たくないなあ。
私は、10年ほど前にも泥流スロープで雪の下3センチの岩に触雷し、数メートルぶっ飛ばされた挙げ句にスキー板がへし折れたことがある。岩にぶつかって頭蓋骨を陥没させた人や、亡くなった方もいるそうなので、皆さんも岩地雷にはくれぐれも注意されたい。ヘルメットが欲しくなった。
ちなみに私の地雷探知機K2 Heli Sinxは、補修してもらうためにアルペンへ持ち込んだところ、「いやぁ〜重傷ですねえ。多分修復は無理だと思いますが、それでも一応やってみますか?その代わり責任は持ちません」とのありがたいお言葉を頂いた(T_T) 。
芯材へリペア材の樹脂が溶け込んでしまって埋まらないか、ごまかして埋めてもすぐ剥がれるか、芯材が熱の影響で一緒に溶出!するんだそうで。まったく・・・
写真2

写真3 遊歩道入り口

写真4  だるい登り

写真5 やっと望岳台

写真6 ホワイトアウト

写真7 GPS様

写真8 忽然と出現!
避難小屋

写真9 谷を行く

写真10 スーさん

写真11 キ

写真12 スーさん
写真13 すべらねえ車道

写真14 遊歩道を大滑降

写真15 車道へ合流中

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