1999.12.12

三段山スキーツアー

(-25度の恐怖冷凍地獄)

メンバー;旦那,yukiko(妻),S,なをたか(ヒゲ) 計4名

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待望の今シーズン初の三段山。しかし!

結果:撤退
天候:吹雪
気温:-15〜-25度
積雪:少な目だが十分滑降可能
雪質:パウダーだが、深い
コース:三段山白銀荘コース(夏道コース)

8:30 旭川出発 気温-7度 天候雪時々曇り
昨夜から滝川の、なをたか君が来て我が家に投宿していたためか、めずらしく予定通り出発(写真1)。出発時はたまたま日が射していたため浮かれる。
途中S君とも合流。本日の三段山アタックは総勢4名となった。
その後天候が悪化して吹雪となる。もちろん回転灯は全開である。
上富良野町から白銀荘にかけては通常2車線の道路が除雪が追いつかなくて1車線になってしまっていた。スタックしそうになりながらなんとか白銀荘にたどり着く。

9:40 白銀荘到着 気温-15度 天候吹雪
白銀荘前は驚いたことに大変な人出。前日から白銀荘に投宿していた人が多かったようだが、この天候にしてこの人出。うーん。みんな熱心ですねー。(写真2)。
ファンスキーにリーバ2をつけたものをS君が持ち込んでくれたのだが、今回は雪が深いため使用できず残念(写真3)。
入山届けを行うために白銀荘へ入ったところ、友人Kと出会う。本当は今日は前十勝へ登る予定だったのだが、悪天候のため中止して三段山の麓で遊ぶとのこと。そうだろうなあ。「もちろん旦那は頂上までいくだろ?」とか言われる。おまえが行け!
丁度ツアーを主催していた大橋先生と久しぶりに出会い挨拶する。

10:05 白銀荘出発
積雪は熊笹の頭が少し見えている程度で、この時期にしては積もっている方だと思う。もちろん滑降には十分な積雪である(写真4)。雪はパウダーだが一気に積もったため深くて重い。
幸い森林限界まではトレースがはっきりしていて、ラッセルをさぼることができた。しかし、例によって旦那の貼り付けシールがはがれる。なぜ?(泣)メンテナンスやり直しだー。頼みの予備シール(秀岳荘オリジナル)はシールを忘れてきた、なをたか君に貸してしまっているし。やむ終えず、S君の両面テープで部分的にシールを留め、その上からガムテープで補強してしのぐ。
この頃の天候は一時的に風と雪がやんで落ち着いていた(写真5)。途中で雪だるまになって降りてきた二人連れとすれ違ったので状況を尋ねると、1500メートル付近でデポ旗が足りなくなって降りてきたとのこと。
夏道コースを通り森林限界で休憩していると、下山中の旭川山岳会と山工房主催のツアー一行と出会い50メートルほど離れたところから大声で世間話をする(苦笑)。山頂まで行ったのか?と尋ねると、「行ったよ!今日みたな天気には登らないと!」と言われる。うーん。さすがである。(後日、これが大嘘であることが判明!やられた!

標高1300メートル付近の尾根に上がったとたんに天候の模様が一変する(いつものことだが)。降雪は大したことはないのだが、強風と視界不良のため、赤テープとデポ旗をベタ打ちにして登り続ける(写真6)。
この付近は、まだハイマツが少し顔を出していた。ハイマツを避けるようにナマコ尾根側の沢ぎりぎりのコース取りで登る。ここは雪庇が発達しているので注意が必要だ。このあたりから、ラッセルと発達した吹き溜まり越えに苦しめられる。

12:30 標高1580メートル付近
山頂まであと30分程度の地点でデポ旗が足りなくなることがはっきりし、雪面の状態も悪いために登頂を断念した。この時点で気温は-25度!久しぶりの極低温である。手足の先つま先が痛い。特に革靴のなをたか君はつらそうだ。ゲーターを装着していても保温はプラ靴に劣る。
同時に旦那自慢の各種電子機器が次々に作動不良になっていった。
まず、IC Recorderが作動しなくなった。これは、アルカリ電池を使用していたためと思われる。
次に外気にさらしていたDVカメラが作動しなくなった。ファインダーを覗くとインフォリチウムバッテリーは100分以上録画できると表示されているのだが、録画ボタンを押すと電池切れのメッセージとともに電源が落ちる。これは初めての現象だ。ちなみにファインダーは暗く、反応速度が極端に遅くなっていて画像はブレブレ。
良い機会なので、ほかの電子機器もテストした。
超安物(2万円のFUJI FILM DS-10S)のデジカメは、安物故の構造の単純さが功を奏したのか、なんとか作動し撮影できた。
GPSもかろうじて作動したが、液晶表示の能力がダメージを喰らって数字の判別がとても困難だった。これは今回はGPSを胸ポケットに入れて保温していなかったためと思われる。
今回初登場のなをたか君自慢の一品。デジタルアバランチビーコンM1は残念ながらテストし忘れた。おそらく体に密着させているので大丈夫だったと思うが。
(これらの機器は下山後どれも正常に作動した。心配された液晶などへのダメージは残らなかった。)

この地点で、なぜか嬉々としてツエルトを張って宴会をする(普通はこの状況下ではとりあえず樹林帯まで降りるものだが)(写真7)。昨年三段山で同じような吹雪に襲われて半泣きだった妻が今シーズンはケロッとしている。慣れというのは恐ろしい。
ツエルト内ではもちろんビールで乾杯だ!S君の「なんでわざわざ体温を低下させる事をするんですか!?」との良識の声も耳に入らない。それでも飲む!飲むったら飲むのだ!(馬鹿)もちろんビールは凍っており、粗目の氷の間から濃い液体を吸い出す(写真8)。おかげで体の芯から冷えた(大馬鹿)。さすがに今回はテルモスに入れた紅茶の方がおいしい。今度は熱燗にしよう。

13:00 滑降開始
ツエルト撤収後滑降を開始する。下山方向が風上になりゴーグルをしていてもつらい。雪が深すぎてスピードが乗らず、やっとスピードが出たかと思うと、吹き溜まりにスキーを突っ込ませて何度か転倒の憂き目にあう。強風のために吹き溜まりが発達し、それが視界不良ために見えないのだ。まったくおもしろくない。
眼鏡が凍結し使い物にならなくなって、なをたか君が難儀している。冬の三段山ではゴーグルは必需品だ。ついでに言うと今回のメンバー4人のうち、なをたか君を除く3人がコンタクトレンズを使用していた。私も普段は眼鏡だが冬山に入るときだけ使い捨てコンタクトを使用している。このような天候時にはとても重宝する。

やっとの思いで樹林帯まで降下し一息つく。樹林帯はいいなあ。おそらく今日山頂へたどり着けたのは旭川山岳会だけだったろう(後日、この日は誰も山頂へたどり着けなかったらしいことが判明した(^_^;))。軟弱三段山クラブはしっぽを巻いて逃げるのを得意とする。
各人の滑りに関しては、道具を新調した妻の滑りが昨年とはレベルが違うほどに良くなった。転ぶ頻度が半分以下になっている(写真9)。テクノ派テレマーカーのS君は相変わらず巧く安定した滑りを見せる。憎たらしいほど転ばない(写真10)。敢えて革靴に長細板で挑んでくれた、なをたか君も健闘していた。浮力のないスキーで思ったよりもうまく深雪を乗りこなす。ただし顔から突っ込む転びかたが一番多かったのも彼だ。恐怖心の克服という点に関しては満点なのだが・・・
滑り足りなくて欲求不満な我々は、一段目を登り返してしばらく遊んだ。例によってボーダー達がジャンプ台を作って遊んでいる。そこへ、なをたか君が迷い込んでジャンプ!その後はお約束の大転倒!!でかしたぞ、なをたか君、これを待っていたんだ!ボーダーからもヤンヤの喝采。少し鬱憤が晴れた。

そこから長い緩斜面を降りれば、そこはもう温泉とビールの楽園 白銀荘だ。皆はやる気持ちが押さえきれないのかウヒャウヒャ奇声を上げながら飛ばす。しかし気持ちがはやりすぎてコースの終わりが(以前から何故こうなっているのか理解に苦しむのだが)急な法面になって断ち切られていることを忘れてしまった。かわいい三段山クラブ員とS君が次々と法面に突っ込んでは吹っ飛ぶのを目の当たりにする私(泣)。特に、なをたか君は制止の声が耳に入らないのか、見事なクラウチング姿勢のまま最高スピードで突入して吹っ飛んでくれる(写真11)。
・・・ありがとう、なをたか君。もう十分だ(写真12)。

14:15 白銀荘へ下山
最後に大自爆した三段山クラブだが、露天風呂とビールで癒される。また来週来よーっと。
写真 2
写真 3
写真 4
写真 5
写真 6
写真 7
写真 8
写真 9
写真10
写真11
写真12 なをたか(ヒゲ)
写真 1
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