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2005年4月10日(日)
危険!上富良野岳ツアー雨氷&滑落

今回のツアーは、アイゼン・ピッケル練習を兼ねた上ホロへのピークアタック。
天気予報は良くなかったが、悪天候への対応訓練にもなるから好都合だろうと好意的に解釈。
道は、上富良野までは乾燥路面だったが山間部の道は圧雪アイスバーン状態だった。このあたりは、まだまだ冬だ。
8時頃にバーデン前に到着。車を一台デポ。雪が良ければ、上ホロのピークアタック後に三峰山沢をスキーで滑降し、バーデン前まで降りてくる目論みだった。
8時30分。凌雲閣駐車場に到着。
視界は良いが風が強い。上ホロ方面を目指す登山者は他には誰も居ない。
登り始めてすぐにアイスバーンの上に薄く風成雪が乗った状態の雪質になった。スリップして登りづらい。
まもなく霰が降り出し、皮膚の露出部分に当たると痛い。仕方なく気温は高目なのに目出帽とゴーグルのフル装備で登る。
標高1620m付近でスキーをデポ。アイゼン登行に切り替え。

このあたりから、霰が雨に変わる。霰は痛いだけだったが、雨は厄介な事態を引き起こした。気温が0度前後なので、雨が衣類に付いた瞬間に凍るのだ(雨氷というらしい)。
間もなく、体全体が薄い氷に覆われてしまった。何もかも表面が凍結し、特にゴーグルの視界が奪われるのには参った。動くたびに薄い板状の氷が体から剥がれ落ちる。ジャケットはバリバリと音を立て、無線機のマイクは発信不能になり、グローブが堅くなってピッケルが持ちづらくなった。ザックを開けるためにピッケルでバックルの氷を割らなければならない始末。

11時30分に上富良野岳山頂に到着。
常に15m〜20mの風が吹いており、視界が何時まで保つか心配だったので、上ホロ登頂は断念してここから引き返すことになった。

アイゼンでの上富良野岳直下の下りはおっかない。初アイゼンのなまこちゃんが苦戦している。
そうこうしているうちにMixが滑落。幸い途中で停止したが、爪を痛めたらしく歩行が辛そうだ。
その後、滑落しそうな箇所は田中パパがMixを抱きかかえて下山した。

スキーデポ地点で、またトラブル発生。
今度は田中パパの板が流れた。Mixがうっかり引っかけたらしい。
回収不能な地点まで流されるかと思われたが、100m程下で運良く裏返しにバウンドして停止。回収に成功。

いよいよ・・滑降開始。
登るときには若干柔らかい部分もあった雪だが、このころには全山がアイスバーン〜レインクラスト状態になっていた。
アイゼン無しではどこで滑落するか分からない。スキーでも転ぶと危ない。
ちなみに樹林帯付近はモナカ・・・
危険なので怪我防止を第一優先に慎重に降りた。ガリガリとエッジを立てながら降りるのは大変疲れる。
旦那はアルペンでしか滑れなかったが、田中パパはテレマークターンでヒラヒラと滑っていく。さすがだ。
当初予定していた三峰山沢の滑降はキャンセル。
下山後しばらくして、付近はガスに包まれた。強風と雨に悩まされた山行だったが、下山まで視界が良かったのは幸運だった。
良い訓練山行だった。

天候:曇り〜雨
風速:15〜20メートル
気温:-1〜2度
雪量:十分
雪質:レインクラスト〜モナカ
コース:凌雲閣〜上富良野岳
メンバー:田中パパ、ゆうちゃん、なまこちゃん、旦那、Mix 計4名+1犬
トラックログ


美瑛から見た十勝連峰
前回のツアーと見比べてみてください

上ホロが見える

富良野岳
入山者はほとんど居なかった

前十勝
まだまだ楽しめそうだ

凌雲閣前駐車場で出発準備
他に上ホロ方面へ向かう入山者は居なかった

温泉沢への下り

富良野岳

堅いバーンを行く

視界は良く、下界もよく見えていた

雹が降り始める

雹が当たると、とても痛い
フード&フェイスマスクを着用

登りでもゴーグルが必要になる

標高1620m
スキーをデポする

テレマークブーツへアイゼン装着

アイゼン登行開始

化け物岩を振り返る

時々ハイ松を踏み抜いて消耗する

田中パパ・・

ヘルメットで登るなまこちゃん

上富良野岳の頂上が見えてきた

耐風姿勢を取るなまこちゃん
何故か万歳しているパパ

核心部を登る


この付近が一番滑落の危険が高い場所

急斜面をトラバースする

富良野岳

もうすぐ上富良野岳山頂

上富良野岳登頂!

旦那も記念撮影

上富良野岳から見た富良野岳

雹から雨へ・・衣類が凍結し始める
ゴーグルが使用不能になったので、予備と交換

嬉しそうな田中パパ。ブランデーごちそうさまでした

三段山

上ホロ
なんと、北西稜を登っている人が見えた。ご苦労様

上ホロは断念して、視界のあるうちに下山することになった

頂上からの降りだしが一番怖い

急斜面を慎重に下る

トラバース

ここでMixが滑落!
下に見えるのは救出に向かった田中パパ

怪我をしたMixは、危険な箇所を担いで運ばれる

風を避けて休憩

やっとありつけた行動食

凍る旦那の図

全身、全装備が凍りで覆われた。
動きづらい

見えづらいが、GPSも全体が透明な氷で包まれている

スキーデポ地点へ向かう

待望のスキー滑降・・
まったく楽しめなかった

温泉沢へ到着

最後の、この登りが一番辛かったかな?
この日、道内で二件の滑落事故が発生して2名が亡くなりました。
この時期の山は雪の状態が一変します。どうか皆さんご注意下さい。



四年前の4月22日、ここで山仲間だった米川さんが、滑落して亡くなりました。恐らく、丁度Mixが滑落したあたりで米川さんも滑落したのだと思います。
今回の山行でも遭難現場でご冥福を祈らせて頂きました。どうか安らかにお眠り下さい・・
http://www.sandan.net/tour/2002/kamihoro-accident/kamihoro-accident.html

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