1999.12.19(日)

三段山スキーツアー

(今シーズン初登頂 快晴!)

メンバー;旦那,yukiko(妻),S

途中合流;O橋,K藤,H夫妻

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やっと、念願の三段山初登頂どす。一度は冷たく突き放しておいて、今度はこんなに優しく迎えてくれはるやなんて、ほんまにいけずな山。

結果:登頂成功
天候:快晴 無風
気温:-8〜-10度
積雪:十分滑降可能
雪質:パウダー
コース:三段山白銀荘コース(夏道コース)

8:30 旭川出発 気温-7度 快晴 無風
天気予報はまことに憂鬱になるものだったのだが、朝起きてみると快晴!やった!
しかし、集合時間になっても三段山クラブ酒飲み担当のG君が来ない。電話すると「すんませ〜ん。二日酔いで動けません」とのこと!くぅー、この快晴を二日酔いで棒に振るとは・・さすが、三段山クラブ酒飲み担当である!天晴れ!! でもほどほどにね。
さあ、G君には二日酔いに専念してもらうことにして三段山へ急ごう。早く登ってノートラック・ノートレース・バージンスノーの斜面をゲットするのだ。途中で日焼け止めクリームをS君から借りる。それほど快晴なのだ。

10:00 白銀荘 気温-8度 快晴 無風
たくさんの車がある割には山スキーヤーの人影がないぞ、そのかわり無数のトレースが・・・しまったー!出遅れた。最近の三段山は侮れない。っていうか油断しすぎだ三段山クラブ。
しかも白銀荘前に妙に真球な雪だるまが2体お出迎え。その奥に見えるのは・・・なんと!雪だるま製造装置だ(写真1)。こんなおもしろいもの初めて見た。白銀荘も侮れない。そんなこんなでさらに出発が遅れる。
しょっぱなから、かなりダメな三段山クラブ。しかしコンデションはいいぞ。雪質は上々、かなりブッシュも埋まってくれた。気温は適度な-5度。これは期待できそうだ。
出発直前にH夫妻が到着。なにしろこのご夫婦はペースが早いので、スピード調整のために我々は3名パーティで先に出発させてもらう(写真2)。

トレースがまるでハイウエイのようだ。いったい前を何人が登っているのだろう。しかし夏道コースからはあまり登る人がいないらしく、一段目でトレースをはずれて軽いラッセルを味わう。気温は低いのだが快晴なので汗ばむ。サングラスを妻に貸しているのでまぶしい。まるで春山のようだ。ここで早くもH夫妻に追いつかれて、ここから5名パーティとなる。

11:30 標高1350メートル 気温-8度 快晴だが、山頂の背後に少し雲がある。
三段山の全容を見て驚いた。ざっと50人くらいの登山者が三段山のコース上にまんべんなく分布しているのだ。こんな光景は初めて見た(写真3)。
S君が旭川秀岳荘の店員にこの様子を話したところ、きょうび下手なスキー場より人が多いのではないか?と笑われたとのこと。確かに。でもここは三段山。スキー場と違って変なBGMも無ければロープもパトロール(私の天敵)も居ない。賑やかな冬山も良い。
登山者の装備も様々だ。ワカン、スノーシュー、ボード、山スキー、テレマーク、長細板、ファットスキー、皮靴、プラ靴などなど。うれしいことに確実にテレマーカーの姿が増えている。一昔前までは山スキーオンリーだったことを思うと感慨深い。
あれ?そこで手を振っているスキーヤーは・・・おお!11月28日に黒岳で一緒になった興部の人(あなたとは、今シーズンで3/4回も出会っていますよ)!その隣は・・・ああ!2〜3年前に海別岳で一緒だった人!お元気でしたか(写真4)?
しばし盛り上がる。私は、何故か三段山では近所より知り合いによく出会う。冬山のど真ん中で「あらー!旦那さんお久しぶり」「あ、どうもどうも、良い天気ですね。ところでシュウちゃんどうしてるかなあ」「このあいだ二人目が生まれて・・・」とか世間話が始まるのである!なかなかシュールである。
この辺で、さらに遅れてやってきた三段山クラブ温泉探検班の2名、O橋君,K藤君が追いついてきた。
丁度同じ頃H夫妻において行かれて人数は変わらず5名パーティ。この三段山クラブ特有の、いいかげんさが心地よい。

バージンスノーを、軽快に滑降するスキーヤー達(写真5)に向かって「ヒューヒュー」だの「カックイー!」だの、はやし立てる三段山クラブ(ガラが悪い)。山の静寂を破って申し訳ない。だって僕ら浮かれているんだもん。でも、浮かれながらも目つきは鷹のように鋭く、ノートラックの斜面を探しているのだ!ここいら辺は油断ならない三段山クラブ。
浮かれているせいか、いつもはこの辺で股関節の不調を訴える妻も調子が良さそうだ。さあ、どんどん行こう!いつもならクラストして危険な頂上直下も適度な粉雪で登りやすい。
稜線に出ると、くらくらするような高度感の向こうで上ホロ正面壁が迎えてくれた(写真6)。振り返ると眼下に広大な上富良野の平野が広がる(写真7)。もうすぐ山頂だ。

さて、ビデオを回しながら感慨に耽る私を置いて、とっとと山頂に向かうクラブ員たち(写真8)。ここいらで富良野山岳会のヒゲの方と、しばし世間話。普段はテレマークなのだが今日は山スキーとのこと。今度は是非テレマークで!再会。我々が到着した頃には大きな団体はほぼ下山してしまい、三段山クラブが山頂を独占した!

12:40 山頂 気温-10度 快晴 弱風。
山頂は360度素晴らしい景観だ。十勝岳も特徴的な大砲岩*1も間近に見える(写真9)。多少雲が富良野岳方面から流れてきているが、ほぼ快晴と言って良い。
スキーを滑降可能な状態にしてから*2、早速宴会開始(写真10)!風が多少強いが岩陰に避難すればツエルトが必要なほどではない。
雄大な景色を見ながらビールで乾杯!(写真11)おっと、日本酒を忘れてきたK藤君が責められているぞ。三段山クラブでは酒を忘れて来ると馬鹿者扱いされる。厳しいクラブである。O橋君やK藤君のザックからカニカマボコ、スモークタンなどが出てくる出てくる。一瞬自分がどこにいるのか忘れそうになる(春山ではこれに焼き肉、ジンギスカンが加わる)。その様子を冷ややかに見守るS君。だが、紅茶を飲みながらティラミスを食べている君もどうかと思うが。

13:15 滑降開始 気温-10度 快晴 若干の風
景色もお酒も堪能したところで、滑降開始だ。
他にはほとんど登山者が居ないので焦る必要はない。
今回は、いつもの滑降コースが荒らされていたため、崖尾根に向かって稜線を降りた後、シュプールの少ない斜面を見つけて滑降することにする。
稜線は風で雪が吹き飛ばされやすく、岩の頭が所々に顔を出しているので、スキーで踏まないように慎重に降下する。すると、ありました!尾根沿いにほとんどシュプールのない素晴らしい斜面!!
このあたりの斜面はクラストしていることが多く、ハイマツも多いのでいつもは敬遠するルートだが、今日は最高のコンディションだ。
ビデオ撮影者の特権で、一番乗りで滑り出す私。後方からは「ヒューヒュー!」というはやし声。スピードが乗ってくると顔に雪煙が吹き付 けてくる。そしてターンのリズムがパウダー独特の反発と同期していく。最高の一瞬だ。と、思ったら激しく前方一回転。そんな私もパウダーは優しく受け止めてくれる。転んだ瞬間にも「最高ダー!」と叫ばずにいられない。

そんなこんなで皆雪だるまになりながら、うひゃうひゃ降りていく(写真12,13,14,15)。転んでも楽しい(写真16)、ロングターンもショートターンも楽しい。パウダー上では何をしても楽しいのだ。と、我を忘れて滑っているとS君と妻の姿が見えない。間の悪いことに、ちょう谷の中にいて見通しがきかず、大声で呼びかけても返事がない。15分ほど待機しても現れないのでシールを付けて登りかえすことにした。一応、O橋君とK藤君にはこの場に待機してもらい、私から合図があったら白銀荘から救命橇とザイルを持ってくるように伝える。
そして登りかえし始めると、すぐに二人が現れた。どうしたのかと尋ねると「ストックを持っていかれたー!」とのこと。S君が激しく転倒し、そのままストックが行方不明になったのだ。妻と二人で周囲を掘りまくって探したが、結局見つからずに降りてきたらしい。

そう。パウダーはストックやゴーグルを生け贄にしたがるのだ。ハンドストラップに手を通しておけば無くなるのは防げるのだが、三段山にはよくハイマツ地雷が潜んでいるので、ストックがハイマツにからめ取られると腕を脱臼するおそれがあるのだ。それで、我々はハンドストラップには手を通していない。S君は行方不明防止策としてストックに目印テープを付けることにするという。またノウハウが一つ増えた。
仕方がないね。春になったらもう一度探しに来よう。S君は一本杖ストックワークを楽しみながら滑っていく。
2段目へトラバースして通常の夏道ルートに戻り、一段目で最後のパウダーを楽しむ。お楽しみはここまでだ。ここからものすごく立派なトレースをたどるのだが、これが見事に幅1.5メートルほどに圧雪されたもので、自然とボーゲンを強要される。筋肉が疲弊している者にとってはボーゲンは苦痛だ。オーバースピードになるのを注意しながら疲労困憊で白銀荘に転がり込む。しかし見事なトレースだったなあ。山頂からここまでボーゲンで降りる人がたくさんいたのだろうか。最高の雪質なのに、なんとももったいない話である。

14:45 白銀荘到着 気温-8度 快晴 無風
途中アクシデントがあったり、トラバースしたりして、結局かなり遅い帰還となった。白銀荘のロビーで、ビールを飲みながら今日撮ったビデオを見ながらの反省会を行う。
もちろん、その後は露天でとろける。
今日の三段山は最高だった。ありがとう三段山。


*1)大砲岩:
H6年に北大生が雪崩で1名死亡した場所でもある。三段山といえども、安全な領域を少しでも踏み越えると死亡事故があるほど危険な場所があるのだ。注意しよう。

*2)着いたらすぐスキーを滑降可能な状態にしておく:
天候の急変や事故に備えて、スキーを脱いだ段階ですぐにシール等をはずして、すぐに滑降できる状態にしておく。良き伝統。
他にも、”山中でグローブを脱いだら罰金”とか、”コラ!俺のツエルトにアイゼン履いたまま入るな!”とか、いろいろなルールがあるようである。

写真 2
写真 3
写真 4
写真 5
写真 6
写真 7
写真 8
写真 9
写真10
写真11
写真12
写真13
写真14
写真15
写真16
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