電 池

Battery

山に登る方々は、一般の方より電池を多く消費していると思います。
ライト、ラジオ、ビーコン、無線機、GPSなどなど。さらにザックの中にはいつも何種類かの予備電池も入っていることでしょう。今回はそんな電池フリークなあなたに贈る、ちょっとお得な?話です。
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いろんな電池     図1

貴方は、普段はどんな乾電池をお使いですか?
マンガン電池、アルカリ電池?
単三リチウム電池もありますが、アレは高価すぎます。低温下での放電特性が優れているので大変惜しいのですが・・・。今は涙を呑んで特殊な用途向けと割り切りましょう。
たぶん、皆さんはアルカリ電池を使用する機会が多いと思います。

充電式電池はどうでしょうか?
充電式電池には、ニッカド電池、ニッケル水素電池があります。
あれ?リチウム電池がありませんね。実は、リチウム電池には充電可能な汎用電池はありません。
リチウム電池は構造的に難しいところがあり、専用充電池とかでないと製品化しにくいのです。
さて、過去にはニッカド電池が普及していましたが、今はニッケル水素電池がとって替わりつつあります。
ニッカド電池は、容量が通常の単三タイプで700mAh。スーパーニッカド電池で1000mAhで、アルカリ電池よりは良いとはいえ、ちょっともの足りません。使いきらないうちに充電すると見かけ上の容量が少なくなるメモリー効果という現象も起こり、とても不便でした。私も一時期使っていたのですが、メモリー効果によってあっという間に電池の寿命が尽きてしまい、それ以来使っていません。

最新のニッケル水素電池の容量は公称2100mAh。これは凄い!残念ながらメモリー効果はありますが、ニッカド電池ほどではありません。
使用時間の約90%をほぼ一定した電圧で、大電流を連続供給することができ、ニッカドと同じく約500回くり返して使えるので使用後は廃棄量も約1/500になり、ゴミの量も少なくなります。
資源としてリサイクル可能なことから、“リサイクルマーク”もついています。
さらに、カドミウムを含まないという点でもニッカドに比べて環境にやさしいといえます。
厳冬期の電圧低下に悩んでいた私にとっても、救世主のような存在です。なにしろアルカリ電池では、すぐに電池切れを起こしていましたから。残念ながら温度と放電特性との関係のデータは入手できませんでしたが、とくにアルカリ電池より劣るということはなさそうなので、単純に2倍程度以上は電池の保ちが良くなるということになります。
少し古いデータですが、電池の種類ごとの比較表がサンヨーから発表されていますので、掲載します(図1)。

飛躍的に性能が向上し、環境にもやさしいニッケル水素電池ですが、価格的にはどうでしょうか?
単三電池1本当たりでの定価比較を行いますと、
アルカリ電池 160円/1本
ニッカド電池(1000mAh) 500円/1本
ニッケル水素電池(2100mAh) 500円/1本
で、とりあえず価格的にはニッカド電池を選ぶ理由はありません。
では、アルカリ電池との比較ではどうでしょうか?ニッケル水素電池が1本500円÷500回の使用=1本当たり1円!別途充電器を3000円くらいで購入しても、すぐにペイできますね。とても比較になりません。
しかも、アルカリ電池よりもとても長持します。

結論:さあ、皆さんすぐにニッケル水素電池を使いましょう。
山関係の方で、ニッケル水素電池を単三で20本、単4を8本使い回ししている方もいます。凄いですね!立派です!!

ただし、この電池も良いことづくしではありません。
ニッケル水素電池の欠点
1.自己放電率が非常に高い
良いこと尽くしのようなニッケル水素電池でしたが、いくつか欠点も分かってきました。
まず、自己放電率が非常に高いです。どれくらい高いかというと、ニッカド電池の10倍、アルカリ乾電池の100倍!です。
夏期で数週間、冬季で2ヶ月くらいで電池は空になります(温度に強い影響を受けるため。高温だと早く放電してしまう)。このことは、たとえば雪崩ビーコンなどへ入れっぱなしで使うと、いざというときに電池が空の可能性があるということです。
これって、非常に大きな問題だと思うのですが、メーカーはこの問題を積極的に消費者へ伝えていないですね。困ったものです。まあ、仕方がないので運用法で対処しましょう。私は、GPS等に使うニッケル水素電池は、当日の朝に充電が完了するようにして使っています。
頻繁に使う製品に限定してニッケル水素電池を上手に使いましょう。

2.電圧が低い
アルカリ電池などの単三電池の電圧が1.5ボルトなのに対し、同じ単三電池でもニッケル水素電池の電圧は1.2ボルトです。そのため、使用する機器によってはかえって早く電池が切れてしまう現象に見舞われます。これはその機材が1.5ボルト用に設計されているためで、少しでも電圧が下がると機能しなくなる場合があるからです。
私の例では、ボイスレコーダーが、アルカリ電池よりかなり早く電池切れになりました。
他の方ではデジカメで同じような現象があったようです。ご注意ください。

3.メモリー効果
やはり、ニッケル水素電池にもニッカド電池ほどではありませんが「メモリー効果」は発生します。この現象を防ぐため、時々完全に使いきってから充電する必要があります。不便ですね。これが今ひとつ二次電池の普及を妨げている理由の一つかもしれません。充電するときに、きちんと放電してくれる機能があれば理想的ですが、長い間、電池メーカー製の充電器には放電機能が付いているものがありませんでした。
不思議ですよね。私はてっきり私は電池メーカーの生き残り策だと思っていました。使い捨て電池はメーカー側にとってはドル箱ですから、あまり充電可能電池ばかり使われると、電池メーカーはあまり儲からなくなってしまいますからね。
仕方なく模型メーカーである田宮製の放電機や、メーカー名不詳のあやしい充放電機を入手して使っていましたが、やっと最近ソニーから放電機能付き充電器である、「ニッケル水素電池専用急速充電器 SONY BCG-34HRC4リフレッシュ機能付き」(単三電池四本付きで約\5000)が発売されました。
早速購入して使っていますが、とても便利です。
ソニーによると、50回使用してメモリー効果により87パーセントまで容量の落ちたニッケル水素電池に対し、放電リフレッシュを行うと98パーセントまで回復したとされています。
他の電池メーカーではHPで「メモリー効果」の解消は必要ないとアピールしているところがありますが、同じ電池メーカーとして、この姿勢の違いはなんなのでしょうかねぇ?(^_^;)

●ニッケル水素電池単3形4本付属
●「メモリー効果」を防止・解消し、電池の性能を回復させる“リフレッシュ機能”搭載
●ニッケル水素電池単3形・単4形1-4本充電可能
●海外でも使えるオートボルテージ充電器(入力電源100V240V対応)※行先(国)の仕様に合わせたアダプタープラグが必要です
●充電時間:ニッケル水素単3形(min.2000mAh)の場合、12本で約130分、単4形(min.700mAh)の場合、1-2本で約75分