いびつな過保護
2000年11月4日(土)
目次


先日、我が職場で開発された製品にミソが付きました。
木材のチップを加工して木酢液を含浸させ、植裁に敷き詰めて雑草の発生を防ぎ、景観を向上させるというものです。
リサイクル可能な環境製品として、かなりイイ線を突いたものだと思うのですが、街中での実証試験中にボヤ騒ぎが起きてしまいました。どこかの馬鹿が火のついたたばこを投げ捨て、チップに引火してくすぶってしまったのです。
で、すっかり事業者側はびびってしまい、「燃えない物でないと、使えない」という話になりそうです。うちの担当者は、対策に苦慮しています。

皆さんはどう思われますか?たかだか植裁の土に敷き詰める物に対して、耐火性能が必要なんでしょうか?そもそも植裁だって可燃物です。
たばこを投げ捨てするような奴対策に、そこまでしてやる必要があるのでしょうか?
逆に言うと、こんなことだから何時までもタバコの投げ捨てが無くならないばかりか、山でもうっかり捨てる馬鹿によって山火事が起こったりするのです。
火事の原因のトップは、たばこの不始末と不審火です。

私の独断ではこうです。
タバコの投げ捨て?「そんなことをする奴は、放火の罪で逮捕しろ!」

もう一つ、
私が以前別の会社で道路資材の開発をしていたとき、ブロックのデザインで幅一センチ、深さ一センチの溝があるものを制作しました。
すると、営業からクレームが付きました。ハイヒールが刺さって女性が転ぶからダメだと言うのです。
実際、以前にそのような溝にハイヒールが刺さって転んだ女性からクレームが付いて、賠償したことがあったそうです。
底が一センチ以下のハイヒールなんて存在するんですね。
その人は、平らな舗装道路以外は歩けないでしょう。
公共建築に天然無垢材のフローリングを採用したら、アッという間にハイヒールによって穴だらけにされたこともあります(ホント)。そんな代物に足を踏まれたら、足に穴が空きそうです。もう、ほとんど凶器ですね。
こんなに環境に優しくない履き物はありません!

でわ、私の独断です。
ハイヒールが刺さって困る?「そんなものを履いて、外をうろうろするな!!」

上記の例のように、今の社会は一見過保護に見えます。
でも、いびつな過保護です。たとえば、ノーマライゼーションの観点から見て、上記のこと以上にもっともっと直さねばならないことがたくさんあるはずです。例えば車椅子が乗り越えられない段差なんて、ごろごろしています。なのに、その声はなかなか届きません。
結局、傲岸不遜な者の、取るに足らないような要求だけが通り、いびつな過保護につながっているのです。
電子レンジへ猫を入れて破裂死したケース。コーヒーが熱すぎて火傷したケース・・外国ではあきれるような訴訟を目にしますが(しかも、訴えた側が勝訴しているのが凄い)、日本でも訴訟に至らないだけで、日常にあきれるような要求がまかり通る実態があるのです。
弱肉強食?、ゴネ得?・・・まったく嫌な世の中ですね。


目次