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2000年11月6日(月) |
これから、冬山を始めようという方から、テレマークが良いのか山スキーが良いのか、よく問われます。 私はまだ、山スキーからテレマークに転向して3年目の若輩者ですが、両方を使ってみてようやく両方の特性がわかってきました。滑降時の安定性、道具(特に解放機構)の完成度、スキーアイゼンが利用できるか、etc・・ 安全に滑降する技術の習得に関しても、テレマークでもプラ靴が主流になってきて、以前よりは乗りこなしが楽になったとはいえ、山スキーと比較するとどうでしょうか? とりあえず、テレマークを買ってみたけど、こんなはずじゃ・・・・という事態を避けるためにも、テレマークの特性を理解しておいた方が良いでしょう。 では、具体的に山スキーとテレマークスキーを比較してみましょう。 登高時: 基本的な登り易さは、両方ともプラ靴ならあまり差はありません。 テレマークの方がビンディングの切替が必要ない分楽ですが、スキーアイゼンが装着できない点(スカイホイには装着可だが、高価すぎる)、ヒールサポートが貧弱な点が劣ります。 ラッセル時には、テレマークの方がスキーの先が上がりづらくて苦労することが多いです。 滑降時: 基本的な滑り易さは、山スキーの方が上です。 滑降の技術は、山スキーなら学校で教えているアルペンスキーの技術の延長線上にありますが、テレマークは基本的な考え方から変えて練習する必要があります。 したがって、テレマークターンの習得には時間がかかります。 しかし、テレマークでも道具の進歩によってアルペンターンが容易になったので、状況によってはアルペンターンでの滑降を選択できます。 テレマークは、狭くて急な斜面での制動が苦手です。また、雪質の変化にも弱く、すべり抵抗の変化によっては簡単に前方へ投げ出されます。 また、大荷物を背負った滑降時にもテレマークの方が疲労が激しいです。 テレマークの方が転倒時に怪我をしにくいという伝説がありますが、私の経験ではテレマークの方が危険です。その理由としては、解放機構が貧弱なことが上げられます。 市販の解放機構について、ロッテフェラーTRP100とVoileを試しましたが、どちらも完成度が低くて危険です。テレマークの機構上、理想的な解放機構の実現は難しいでしょうが、将来はスカイホイのタイプが普及して解決するかもしれません。 山スキーのバインディングは、ジルブレッタ404あたりから技術的にはほぼ完成されています。 ただし、以上の問題は滑り重視の本格的な山スキーを行うときの問題点です。 比較的なだらかな稜線を歩く&登る&滑るということなら、テレマークに分があります。 結論: そんな訳で、テレマークを礼賛するweb pageを作っている者としては、とても言いづらいし、異論のある方もいらっしゃるでしょうが、 スキー初心者が冬山を楽しみたいのなら、特にテレマークに対する強い動機付けが無い場合は、山スキーにした方が無難です。客観的に見て、現時点では登山の道具としては山スキーの方が総合的に優れています。 でも、テレマークに何らかの思い入れがあり、テレマークの欠点も了解済みで、それでも理屈抜きでテレマークが好き!と思われるのなら、ぜひ一緒に楽しみましょう!!(^_^) ちなみに私が山へ入るときには、山スキーヤーとテレマーカーの混成部隊で仲良く登っています。私は普段はテレマークですが、難しい山へ挑戦するときや大きな荷物を担ぐ縦走時には、山スキーに戻すことになると思います。 なぜ私が山スキーからテレマークスキーに転向したかというと、オフピステで滑りそのものを楽しもうとすると、テレマークスキーの方が楽しそうに見えたからです。 実際、楽しいです。仲間と滑降中は笑い声が絶えません。この楽しさを言葉で説明することは難しいです。転んでも転んでも、ただ、ホント、楽しいんですよ。難しいだけに乗りこなしたときの達成感も大きいですし。 ただ、これは好き嫌いの問題ですから、万人には通用しませんね。 この辺のニュアンスは、なんだか、コンピュータをMacにするかWinにするか問われたときの答えと似ているなあ・・・(^_^;) 北田啓郎氏も言っていましたが、理性の山スキー、感性のテレマークということなのかもしれません。 私の究極の目標は、ダブルキャンバーの長板に皮靴でテレマークを操ることです。そのために、現在プラ靴で一生懸命練習していますが、老後の楽しみに取っておくかもしれません(^_^;)。 テレマークに乗る理由は人それぞれです。 |