旅人階級制度〜ピースサインの謎〜
2004年8月17日(火)
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北海道の夏の風物詩とも言える、ライダー同士のピースサイン。実は根底に秘められた階級制度があった!?


昨年、旦那が嫁のゆきこと自転車でツーリングしていた時の話。
ゆきこは、本格的なツーリングをしたことが無かったので、いろんな事が珍しいらしい。
丁度夏のツーリング時期だったので、時々バイクでツーリングしているライダー達が僕らにピースサインを送ってくれる。それに旦那が応えていたら、ゆきこが不思議そうに尋ねてきた。
ゆきこ:「ねぇ、何やっているの?」
旦那:「これかい?旅をしている者同士が交わし合う挨拶。ピースサインさ」
「へー、私そんなことしたこと無い・・」

「なあ、こーゆー旅をしている人達に身分制度があるのを知っているかい?」
「え!身分なんてあるの?」
「当然さ。まず、一番身分が低いのは車で旅をしている人」
「なんで?」
「一番楽だから。まだ自家用車で旅をするのはマシ。バスなんか自分で運転もしていない。だから、車で旅をしている人達には、誰も挨拶しないだろ?明らかに旅をしているような車に対しても、ドライバーへピースサインをしているのを見たことがあるかい?」
「そういえば、無いねー」
「だろ?旅人達から無視されているのさ。さしずめドライバーは下民だな。でも、例えばジムニーで旅をしている人なんかは車の中でも身分は高いと見なされるけどね。次に偉いのはバイク」
「なんで?車とどう違うの?」
「車よりも厳しい環境に身を置いているからさ。カーステもエアコンも無く。雨が降ってもカッパで走る。なにより一人で走るから孤独。」
「だから、バイクの人はピースサインをするの?」
「そう。バイクに乗って初めて”旅人同士の連帯感”が生まれ、お互いを尊敬しあってピースサインを送るのさ。まあ旅人階級でいうと、初めて市民権を得るクラスかな。バイクの種類によってもさらに身分が分かれるけどね。オンロードバイクよりもオフロードバイクの方が偉いし、さらにカブで旅している人なんかは、ライダーの中でもかなり偉い」
「へー、じゃあ、バイクの次に偉いのは自転車?」
「ビンゴ!自転車にはエンジンが付いてない。バイクよりも厳しい分だけ身分が上だ。ほら、僕たちにもバイクのライダーが尊敬の眼差しでピースサインをしてくれているだろ?」
「そうかなーそう言われればそんな気がするね。バイクが市民なら、自転車は貴族?」
「そうだね。さあ、ゆきこもライダーからのピースサインには、貴族の余裕で応えてあげよう」
「よし。ピース!・・・ねえ、自転車よりも上の身分ってあるの?」
「ある!何だと思う?」
「ん〜」
「徒歩。徒歩さ。歩いて旅をする。これが最強だ。キングオブ旅だね」
「歩いて旅をするってこと?」
「そう。旦那も昔は交通機関を一切使わずに歩いて旅をしていた事があるんだ。歩いているだけでも辛いし、一日中歩いても全然距離が稼げねぇ・・だからもう尊敬されまくり」
「へー」
「車以外、すべての旅人からピースサインを送られるね。「がんばれよー!」なんて声援が付くこともある。さらに、背負っている荷物が大きいほど身分が上になるんだ。格好も出来るだけ汚く・・」
「要するに、苦労しながら旅をしている人ほど身分が上になって尊敬されるわけ?」
「まっ、そういうことかな。ゆきこも最強の旅人を目指して、がんばろー!」
「うーん、でもボロボロの格好で旅をするのは嫌だなあ・・」

以上、適当なウソを言ってゆきこをからかっていた旦那でした。

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