カメムシ地獄
2000年11月25日(日)
目次

カメムシ
体から強い悪臭を発するカメムシが越冬場所を探して家屋に大量に侵入するケースがある。
研究者からは、温暖化や森林減少を背景にした異常発生を指摘する声も聞かれる。
異常発生しているのは、主に体長一センチ程度のスコットカメムシ。
北海道や本州を含む東アジアに広く分布し、背面は暗褐色で、白い波紋がある。
もともと森林を生息域としているが、秋が深まると越冬場所を探して家屋など暖かい場所に出没しやすい。白い壁の家が特に狙われやすい。


みなさんは、カメムシを知っていますか?まあ、かわいくもなんともない汚い虫なんですが、こいつには特技があって、身の危険を感じるとお尻から悪臭を放つんです。
この臭いは、どう表現したらよいか困るのですが、まあ、あなたがどんなに上機嫌な時にでもこの臭いをかいだとたんに、そんな気分も台無しになるのは請け合います。
しかも、手に付いたらなかなか落ちません。そんな手で食事でもしようものなら、もう・・・

というわけで、ええ、我が家にも大量発生しました。カメムシが。
私が小学生の頃の話ですが、恐らくこれからも一生忘れられないでしょう。
我が家は、かなり田舎に建っていましたが、三角屋根に白い壁の洋風建築で、当時の農家としてはかなりモダンで目立っていました。そう、カメムシにとっても。
厄災はある日突然やってきました。天井の隅の方にジワーッと黒くてうごめくものが出てきたなと思ったら、日に日にその黒いシミは天井一面に広がっていき、ついには天井一面がざわざわとうごめく黒いもので埋まりました。もちろん、その正体は数千匹のカメムシです。
それからは、毎日がカメムシとの戦いです。
こいつらは生命力が強く、フマキラーを吹き付けたくらいではなかなか死にません。延々吹き付けていると人間の方が具合が悪くなります。
母親は毎日掃除機でカメムシを吸い取っていましたが、次から次へとカメムシはわいてきます。しかも、掃除機の後ろの吹き出し口からは例の何とも言えぬ悪臭が吹き出します。そうなると家の中にはいられません。
仕方なくカメムシと生活を共にすることになるのですが、天井でおとなしく越冬していれば良いものを、部屋が暖かくなるといっちょまえに調子づいてブンブンと飛び回ったり、間抜けな奴が天井からポトリと滑り落ちてきたりします。
食事していると、ご飯にポトリ、おかずにポトリ、スープができて大鍋のふたを取ったとたんに2、3匹中に落ちてきてしまい、そのまま捨てたり・・・・。
本の間に勝手に入り込んで勝手に潰れて悪臭を染み込ませたり・・・。
こんな奴らとは、どんなに人間が譲歩してやっても絶対共生できません!
そのうち、私たちはガムテープを常に携帯するようになりました。
生活の邪魔をするカメムシを、ガムテープにくっつけて、そのままくるんで捨てるのです。うまく包むと、密閉できて臭いも外に漏れません。
それからは、毎日イスに座る前にカメムシをくっつけ、布団に入る前にそこで越冬しようとする不届きものをくっつけ、テレビ画面上をはい回るカメムシをくっつけ、とにかくくつけまくりました。ゴミ箱の中身はいつもカメムシ入りガムテープで一杯でした。
人間とは、案外たくましいもので、なんとかこんな生活も板についてきました。
そして、やっとカメムシに対処できるようになってきた頃に、だんだんカメムシの数が減っていき、とうとういなくなりました。
駆除の効果か、もっと快適な越冬場所を見つけて引っ越したのか、わかりません。
我が家にもやっと平和な日々が戻りました。

あれは、まったく天災でした。平和な日本にも昆虫パニック映画さながらのドラマが起こり得るのです。
警戒を怠ってはいけません。彼らは今でも虎視眈々と快適な越冬場所を探しています。
ほら、あなたの背後にもいつの間にかカメムシが・・・

ちなみに、駆除方法は越冬直前の11〜12月初旬に1、2回、さらに活動再開時の4月頃に1回燻煙防虫剤で駆除したり、窓枠に殺虫剤を塗るなどの予防がお勧めだそうです。


目次