くつずれ夜話
adachiのワンポイントアドバイス

2001年10月11日(木)
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HYML(北海道山ML)へadachiさん(山スキーのベテランの方)が、以前に靴擦れについての見事な考察を投稿されていました。
旦那は最近靴擦れ知らずですが、スキーツアー中の靴擦れ犠牲者は何度か見ています。疲労困憊の上に靴擦れ・・まさに泣きっ面に蜂。人知れぬよう涙をこらえ靴擦れにじっと耐えている人を見るのは辛いものです。
adachiさんの画期的な考察は、靴擦れ解消に絶対役立つと思います。
というわけで、許可を得てこちらに転載いたします。



adachiです。

スキーを履いてのくつずれにも幾つかのパターンがあります。
もっとも多いのは、かかとの皮むけです。
あと、靴のハイバック(と言うのか?)になった上端辺りで皮膚が圧迫されたり擦過したりして、皮むけがおこります。
もう一つは、「ずれ」とは言いにくいのですが、靴の形が合っていない時に、親指か小指の付け根付近の突出部におこります。擦過するというより、圧迫と弛緩を反復して皮下組織が崩れ、炎症を起したといった感じになります。
一方、夏山の下山時に時々おこる、つま先部分の圧迫と、爪の壊死(と言っていいのか?)は、スキーでは起こらないですね。

くつずれが何故起こるのかを考えてみましょう。

一般的には、生足が靴の内部とこすれあって、皮膚が痛めつけられる、と考えられます。しかし、足が靴と一体化していないかぎり、足が靴の内部とこすれるのは避けられ無いです。
とりわけ、適切な歩行には靴の内部に、ある程度の遊びが必要と考えられてもいますから。
こう考えてはどうでしょう。
足と靴とがこすれあうことは当たり前だ。問題は、足本体の運動に足の皮膚が、靴との摩擦のために追従した運動が行えないでいる。そのために、足本体と皮膚との間に乖離が生まれ、炎症や皮膚のむけにつながる、と。
とすると、対策の一端は、皮膚と靴との摩擦係数を小さくすることと言えましょう。

そこでみんなが実行しているのが、カットバンをくつずれ予想部位に事前に張っておくことです。しかしこれは、摩擦係数を小さくするような張り方でなければなりません。
一部にあるような、表面が意図して粗面に仕上げられたようなカットバンやテープだと、たちまちぐちゃぐちゃになってしまいます。
また、経験的には、カットバンそのものに皺が寄るような雑な張り方も、くつずれの逆襲を呼びます。
なお、adachiがときどき行う方法に、かかとに石鹸をすりつけておく、というものがあります。これはこれでグーです。害も、今のところはありません。

しかし、ここで原点に立ち返って考えてみますと、靴と足の皮膚は、じかに接してこすれあっている訳ではありません。その間にはソックスがあります。
ならば、くつずれの原因としての表現は、「足の皮膚と、ソックスとの間の擦過による」とすべきでしょうか。
先に挙げた対処法は、この間の摩擦係数を減少させる方法です。しかし、別の考え方も可能です。それは「靴と、ソックスの間の摩擦係数を低減させる」というものです。つまるところ、靴の側からみるならば、靴の運動はソックスに伝わり、さらにソックスから皮膚に、皮膚から皮下組織へと伝わっていくのですから、この間のどこかで摩擦を低減して、靴の運動と皮下組織との軋轢を解除してやれば良いだろう、となります。

で、これもadachiがときどきおこなう儀式ですが、葬儀用の黒くて薄い、すべすべのソックスを、山用ソックスの上にかぶせて履くのです。(adachiはこういうソックスはこれしか持っていないので(^_^;))。
これも効果はあります。

しかしまた考えてみますと、くつずれを足と靴の間の性格不適合みたいに見るだけでは、何か発想が平板ではないでしょうか。
そうです、人間としての歩行・運動の観点もあってしかるべきです。すなわち、「くつずれにならない歩き方」。

そんなもの本当にあるのか?(-_-) の声が聞こえそうですが、考えてみれば、靴擦れが起きつつあるまさにその時に、人は少しでも痛くないようにと、それまでとは異なる歩き方を試みるではないですか。
そうして実際、そのような歩き方では、無造作に歩くのに比べて痛みも軽くなり、靴擦れの進行も(い
くらかは(^_^;))遅れます。
つまり、逆から見るならば、「歩き方が悪いから靴擦れが起きるのだ」ともいえます。では、くつずれしない歩き方を教えろ、と言われそうですが、これはケースが多様すぎて、簡単には答えにくいというのが本当です。ただ経験的にいくつかの点を指摘することは可能です。

つまり、これまでのくつずれの少なからぬ部分は、運動不足であったり、疲労気味であったりした時に多いのです。また、見た目に(自覚的にも)足取りが重く、ずるずると引きずるような歩き方をしている時、背筋が力なく、動作にめりはりが感ぜられないような時に多く発生しています。
ここから独断的に解決法を述べるなら、「体調を整え、元気良く膝を上げて、シャキシャキと歩け」ということになりそうです。
(バガヤドーっ!!当たり前を言うなぁぁ!!(>_<))

まー、あれこれと言っても、歩行中に足に異常を感じたら、すぐに手当てをするのが肝心です。次の休憩で、とか、皆に悪いから、なんて思ってグスグスしていると、たちまち悪化してしまうんですよねー、これが。
で、いつもポッケにはカットバンを数枚入れておいて、ぱっと作業にかかり、かつ水分やホコリ、垢などの汚れで接着力が落ちないように丁寧に仕事をします。息を吹きかけて表面の乾燥を促したり、手指でよく部位をはらってやるのも効果があります。ソックスを脱いで直ぐに貼るのは、汗やホコリが残っていて好ましく無いように感じます。で、回りの人は、その時に、風や雪で作業が難渋しないよう、そっとそばに付き添って、カバーしてあげれば尚宜しいでしょう。(^_^)

以上、
狭薄に行く前に踵にカットバンを張ろうとしたら、両足の踵に靴擦れの跡を発見し、そっかー奥手稲でちよっと痛かったなー・・・・・と、過去の靴擦れに思いを致したadachiでしたm(__)m。


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