行動食のお話
adachiのワンポイントアドバイス

2001年7月25日(水)
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HYML(北海道山ML)へadachiさん(山スキーのベテランの方)が、行動食についての考察を投稿されていました。
今回は、夏山、沢遡行を念頭に置いた話しですが、とてもわかりやすく、参考になるので、許可を得てこちらに転載いたします。



☆ あまり役には立ちそうもない、行動食のお話です。

まづ断っておきますが、adachiの行動食は、経験と我流で組み立てたものを、雑多な食品栄養学と運動生理学のごった煮知識で補強した程度のものです。
ですから、採点されると合格点は取れるかも知れませんが、90点台の高得点は狙えないでしょう。

また、山、ルートのタイプによっても(かなり無意識に)メニューを選択しているようです。
以下は、日帰りだが若干ボリュームがある山でのお話、と思ってください。(沢遡行、実行動時間10時間、高度差1000m、藪漕ぎ付き(^^;;))

adachiの行動食のベースはケーキ系の小麦粉食品です。
スイスロールやパウンドケーキ、フルーツケーキやブランデーケーキなど。また、面倒な時はカロリーメイトです。
量的には、カロリーメイト4本を、他の補助食品と組み合わせて使えば、だいたい一日の行動に間に合っています。
これらの主目的はいわゆる「腹持ち」です。空腹感でへたってしまわない程度に食べているのです。
腹持ちだけを考えるなら握り飯でも良さそうなのですが、冷えた握り飯は美味しいと感じられないのと、食べることと消化することに余分なエネルギーを消費してしまっているような気がして、選択しません。

補助的なものとしては、糖度の高いフルーツ(みかん、バナナ、)かドライフルーツ。
キャンデー少々、これは時間が無いときにとっさに口にする程度です。
チーズ。
ビーフジャーキー。
その他、適当な炭水化物菓子(おこわ、菓子パン、柿の種、ビスケット、すあま・・・・)

これに飲用水としてポカリスエット1L。
こういうものが無かったころは、塩分補給をもう少し意識して、ビーフジャーキーやチーズ、塩辛系の魚肉ソーセージなどを多めに持ったようです。なお、これは禁じ手ですが、疲れた頃に開く甘辛な味付けの秋刀魚蒲焼きのカンズメなんて、ひどく美味ですよね。

あと、他に水を0.5L。

以上でしょうか。

水は、水道水を少し持つように心がけてはいます。飲用だけではなく、負傷時の患部の洗い出しや、目に入った異物の洗い出しにも有効かと考えてのことです。
(が、用意すると使わないんだなーーーー、これが(^_^;))

他に、非常食を兼ねて、チーズ、チョコレート、東鳩オールレーズンなどが加わります。

☆ その他の問題。

行動食では、糖分と炭水化物の摂取が基本に位置し、それに水分と、ナトリュウム・カリュウムなどの塩類が必須になります。(本当はマグネシュウムやヨウ素なんかも入れたいけど、その即効的な必要性の知識が無いので、一応横に置きます)
脂肪系とタンパク質系の食品は好みによりけりですが、塩分が必ず伴っていることからすると、あながち無意味でも無いようです。また、行動中に飲む、だしの効いた味噌汁のうまさからしても、なんらかのアミノ酸補給を身体は歓迎しているようです。

摂取すべき水分の量。
ものの本には、体重1キロあたり、毎時5グラムの水分が(登山中に)失われるとあります。
わたしの体重60キロでは、10時間行動で3000グラムということになります。
白水でのわたしは、飲用水1.2Lと、もらいビール400ml、ソーメンの汁100ml程度を摂取しています。他に、バナナの水分と、沢水若干ですか。
合計しても2000グラムくらいにしかなりません。
しかし考え方として体重の1.0%程度までなら水分喪失は許容できる(一時的にですが)ようなので、沢中での行動で体温がさほど上昇しなかったことも加味すると、適正なバランスと見えます。
短時間の軽度の山ならば、1Lの水でお釣りがくるし、長時間の山で日射もきつければ、2Lでも足りないという感じですね。ともかく、夏の長い尾根行動は(もう何年もしていない(^_^;))水を食います。

「行動食」という概念は、「1時間ごとに炭水化物・糖類を摂取する」ということと等義です。ハイキングから入ってきた登山者さんでは、「お昼」と「おやつ」の概念しか持っていないことも少なくありません。短時間ごとの摂取は大事でしょう。

ミネラルとビタミンの問題は長期の山行で問題となります。
けれどわたしの経験からすると、僅かではあっても日帰りの山でもこれらの摂取を意識することは決して無意味ではないようです。基礎知識を欠いているので詳論はできませんが、特に疲労の深化と軽減、意識の混乱と鮮明さといった神経系に関わる部分でその効果を感じます。ま、気のせいです、と言われればそれまでですがね(=^db^=)。

非常食としてどの程度必要か、というと、腹持ちのよさそうな炭水化物200g程度に、糖類若干、プラスアルファでいいんじゃないでしょうか?(夏の話)
無駄に動き回らなければ人間は一週間は持つ、と聞いています。問題は、行動すべき時にエネルギー不足でしっかりと動けない、或いは脳に十分にエネルギーが供給されずにしっかりした判断が下せない、といった事態の回避です。そのタメには、何時食べるのかというのはけっこう大事な問題です。

他にも論点は多いのですが、長くなったのでここいらで。
専門家の声も聞きたいです。

adachi : nadad@be.mbn.or.jp


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