ざまあみろ!
牛タンのうらみ
2000年12月05日(火)
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ヤッターと快哉をあげたくなることって、ありますよね。そんな話の一つです。



あるクロカンスキー大会でのお話。
数年前に、私たちは湧別100キロほどではありませんが、かなりの距離を走るクロカンレースに参加していました。
私にとってはかなり過酷なレースの中盤。折り返し地点に休憩ポイントがあって、そこでは昼食が配られていました。
高い参加料を取る割にはシケた昼食で、内容は貧相な具のないおにぎり二個とタクアン。それとウーロン茶。
クロカンレースとは言っても、雪解け間近の春の陽気で汗だくの我々は、あっという間にウーロン茶を飲み干してしまい、ボソボソのおにぎりを苦労して飲み込んでいました。
すると、なんだかいい匂いが漂ってきます。あたりを見渡してみると、なんと大会役員の方々が、我々のすぐそばで焼き肉を始めたところでした!
スノーモービルで大量に運び込んだビールまで飲んでいます。

「乾〜杯!」ウーロン茶の空き缶を見つめている我々の横で杯を掲げる彼ら。
「見ろ!最高級の牛タンだぞ!」その声に思わずのぞき込むと、本当に立派な牛タンが焼かれてジュージューいってます。

飢え、渇いた私たちにとっては、まさしく拷問で、もう耳と鼻をふさぎたい気持ちでした。
「ちぇっ!「君らもこっちで一緒に食べたまえ」とか、言わないかね?普通。」(言わないって)
「あーあ、牛タン一枚でもいいから食いてえ・・・」
「うぉー!ビールー!」
「この!牛タン野郎がっ!」
私たちは雪面でゴロゴロしながら呻いていました。

さっそく、彼らの牛タンが焼けたようで、うれしそうな声が響いてきました。
「さあ、焼きすぎないうちに塩で食うぞ!」「おー!」

<しばしの沈黙>

「・・・あれ?味がしねえ」
「おい!もっと塩をかけろ!・・・あれ?」
「もっと、かけろってば!!」(怒声)
なんだか、牛タン組が騒然としています。あきらかに様子が変です。
見てみると、牛タンが白くなるくらい塩をかけているのですが、それでも味がしないようなのです。
そのうち、宴会を仕切っていた男が大声を上げました。
「あっ!おい貴様!これは塩じゃなくて・・・
味の素だぞ!

Yo-ho!(^_^)
「わーはははは!」
「ヒーヒヒヒ!味の素と塩を間違ってやがる!」
「ざまあみろ!」
私たちは転げ回って笑いました。

牛タン組は、「誰か!塩持っていないか?」とか騒いでいます。(持ってるわけない)

溜飲が下がるとは、このことです。
私たちはすっきりしてレースの後半に挑むことができました。
雄大な丘陵を越え、下りで加速して行くと、清涼感のある春風が心地よく頬をかすめていきます。
私は思わずつぶやいていました。
「味の素よ・・ありがとう」


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