山のトイレ考
2000年1月26日(水)
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いきなりですが、トイレの話です。
昔、石狩岳のブヨ沢でテント場がなくて、散乱しているウンコを泣きながら拾ってウンコ地帯にテントを張ったことがあります。
最近は、トムラウシの北沼などの水場で大腸菌が検出されています。
山は、確実に人の糞尿で侵されてきています。
私が参加している北海道の山MLでも、登山者が自分の大便を持ち帰るべきだという声が上がっており、すでに実践している方もいらっしゃいます。
今後登山者の資格を問う踏み絵になりそうな問題です。持ち帰りの方法としては、携帯トイレが良さそうですが、耐久性に不安があるという声もあるようです(確かに、ザックの中で破裂したら・・・)。
登山口で無料配布なども行っているようですが、一般人には難しいですよ。持ち帰り。

山小屋のトイレ問題もあります。常駐者がいるような小屋では持ち帰りができませんから。
現在は深く掘った穴に溜めているだけなので不衛生ですし、くみ取りも困難です。そこで、山小屋用トイレを改善する手段は無いか、使えそうなトイレの事を調べてみました。

候補1 バイオトイレ。
水を一切使わずに時々おがくずを入れて撹拌するだけで、微生物が排泄物を分解し、良質で乾燥したコンポストができるという、最近注目されているトイレです。
撹拌を人力で行えば、電力も必要ありません。(04.07追記:この部分を修正します。バイオトイレは、糞尿を分解するためのバクテリアが繁殖するために一定の熱(ある程度の乾燥条件)が必要です。そのため、ヒーターを稼働させる電力が必要となります。この記事を書いた時点での情報収集不足でした。)
バイオトイレの利点をまとめると、
1.水を使わない
2.くみ取り不要
3.臭気が発生しない
4.糞尿が資源化される
しかし、欠点として私が考えるのは、
1.定期的なおがくずの補給
2.寒冷な気象状況に耐えられるか
3.コンポストの処理
4.電力の確保(04.07追加)です。
特にコンポストの処理は、付近に埋設すると土地の富栄養化をまねいて生態系に変化を生じさせる恐れがあるかもしれませんね。難しいです。
コンポストの乾燥が十分なら焼却も出来そうですが・・・まあ、糞尿そのままよりはおろし易そうです。

候補2 焼却式トイレ
電気の熱で、小便は蒸発させ、大便は灰にするものです。日本では高層ビルの工事現場や、海外ではカナダの森林管理部門が調査時に森林へ持ち込んでいたと記憶しています(たぶん)。
焼却式のトイレは、微量の灰しか残らないので、電力の問題さえクリアー出来れば理想的です。
ただし、消費電力を考えると、ソーラや風力などの独立型パッシブ・エネルギーでは役不足だと思うので、発電器の設置と燃料補給か電力ケーブルの設置が必要になるでしょうね。

候補3金で解決
ヘリコプターで、たくさんの仮設トイレを設置。定期的に回収する。一番簡単。

どれもあまり現実的じゃないですねえ。お金で解決できる問題なら、どしどし入山料を取るべきだと思います。特に商業登山ツアーを主催している旅行代理店や、ロープウエイの事業主あたりから。
今度新築される旭岳避難小屋あたりでは、トイレに関するなんらかの考えを示して欲しいと思います。あの立地条件ならバイオトイレか焼却式トイレは十分設置可能ですから。
(00.08.29追記:なんと!新旭岳避難小屋にはトイレが設置されないようです・・呆れました。旭岳に新型ロープウエイが設置されて、何倍も人を上げる体制になってしまったのに、避難小屋のトイレ問題をおざなりにするなんて。小屋全体が単なる公衆トイレと化してしまわないことを祈ります・・)
この問題を解決するために、短絡的に入山制限とかされると辛いですね。
思い立ったときに入山できなくなる・・・まあ、大雪山系はそうなっても仕方ないか。

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