旭岳滑落記
2004年4月20日(火)
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旭川在住の山スキーヤーの方から、旭岳での滑落事故のレポートを頂きました。
旭岳は、GW中でも雪の状態によっては滑落の危険性の高い山です。特に早朝はアイスバーンになっている事が多いのでご注意下さい。この滑落記でも、早朝にスキー滑降したことが滑落の原因になっていると思われます。
それにしても事故後のリカバリーが凄まじいですね。


平成3年、4月27日、昼から登頂し頂上に竪穴を掘りテント内で宿泊、翌日の朝早く7時頃にザックを背負いアルペンスキーでガリガリの斜面を滑降中転倒。建て直しもむなしく板は左右とも外れ、後は斜面が緩やかになるまで(止まるまで)滑落し続けました。
板が外れた後いろいろもがいたのですが、なす術も無く、滑りゆく先に見える大きさ1m50ぐらいの岩に激突しないよう祈り、祈りが通じたのか約1メートルほど避けて岩を通過、しかし、岩の辺の洗濯板の様に露出した岩は避けることが出来ませんでした。
うつぶせで岩の上を通過した為ウエアの前上から下までびりびり、グローブも同じ。

滑落停止後、私は痛みをこらえ、打撲と信じ、滑落地点まで登りスキーを回収しょうとしましたが、板は見つける事が出来ず断念。装備を担ぎ、姿見の駅まで行こうとしました。
ところが左足が痛みで前に出す事が出来ず、仕方なく後ろ向きで歩く事にしました。
途中登山客とすれ違った時、一人の夫人が「おにーさん、どーしたのさ?」と聞くので、落ちたことを話すと、「レスキュー呼んだげる」と言ってくれましたが、駅も近かったので断りました。
それにしても、びりびりに裂けた服を着て、ザックを背負い、アルペンブーツを履き板も無く後ろ向きにストックもって歩く私を見て、どう思ったでしょうか?

ゴールデンウイークの祭日だったその日の下りロープウエイは私の貸切。救急車の要請はいやだった私は、車に乗り込み、痛みをこらえ、マニアル車で旭川へ帰りました。

怪我の多い私の行きつけ病院へ行き、祭日の当直医に診てもらい、レントゲン診断の結果、骨には異常なし、痛み止めと湿布を渡され帰りました。
打撲だと益々確信した私は、部屋に帰り、安静に。しかし腰の周辺は内出血で紫色。
次の日も祭日で事故から3日目、痛み止めもシップも切れ、病院へ、すると骨折が判明、打撲だと信じきっていた私はあまりのショックで気を失い、そのまま緊急入院。
当直医は畑の違う医者だったようで、診断の結果、骨盤剥離骨折。急激な筋肉の収縮等により、筋が骨ごと剥がしてしまう事による骨折だそうです。
その後手術により剥がれた骨をボルトで固定し、半年後、ボルトの摘出手術をしました。

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