テレマークスキー初心者の頃
-角田さんの場合-
2003年3月4日(火)
目次

HYML(北海道山メーリングリスト)に加入されている角田さんがMLメンバー向けに投稿された文章を、旦那がご本人の許可を受けてこちらへ転載したものです。テレマーク初心者の方には特に参考になると思います。


きっかけは
 HYML開設一周年を前にした2000年12月16日ニセコオフミでのテレマークスキー体験がきっかけとなって始めました。

その日に衝撃シーン目撃
 アンヌプリスキー場のロッヂ前で皆さんを待っていると豪快に滑り降りてくる一団が、その中に一人だけアルペンスキーとは趣が違う滑り方で下る人がいた。
近づくに連れそれと分かる、テレマーカーだった。
切れの良いショートターンでドオォォォっと下りてくる、目を見張った、テレマークであの滑りが出来るんだ!!  す、すごい、ウオォォッかっこいい!!

 衝撃的でしたねー、優雅で上品に滑るのがテレマークとばかり思っていましたからそのギャップに驚くと同時にやってみたい、乗ってみたい、滑ってみたいと思う気持ちがふつふつと沸き上がってきました。俺だってやれる!ってね。

テレマークスキーの試乗
 オフミに参加の皆さんからテレマークスキーをお借りして試乗開始です。
最初は花パパ持参の革ブーツとエッヂ付きウロコ板のセットでした。
印象といえば軽すぎるというのが正直なところで歩くスキーに近い感じです、まだまだテレマークの姿勢もろくに取れませんからアルペンターンでの感想ですが。
そして滑走中に発するウロコからの音とそのウロコの抵抗で滑りがとても重たく感じられ、この組み合わせでは純粋に滑りを快適に楽しむことが難しいのではと思いましたね。

 次に上井師匠のプラブーツセットを、サイズが大きいのは厚手の靴下でごまかして。
靴を履いた感じはアルペン用と大差なし、違和感もなし、ビンディングをセットし歩き出し、つま先が曲がって初めてあーテレブーツだと思うほどでした。
滑りと言えばテレマークでどだっといった感じでやってはみるものの、即アルペンターンで逃げられるのであまり練習にはなりませんでした、が衝撃的出合いの滑りはこの組み合わせならなんとかなりそうな予感はありました。

 さて次は、酒井さんから借りた革靴と細板セットです、実は里津子がこの組み合わせでずーっとテレの練習を繰り返していたのですが、止めると言わないところをみると何とかなりそうな感じで、確かにポーズが決まってきているようです。
多分滑りやすいと思われるので横取りして試してみると、おーこれはいい、それなりにテレの姿勢でいけてるみたい、少し滑りに慣れた事も関係しているかな、とにかくゲレンデの緩斜面ではテレマークらしく滑れたような気がしてきました。

三段山ビデオ
 オフミの夜見せて貰いましたビデオ三段山2000、楽しかったなー、二度三度と繰り返し見たような気がしています、そして見るたびにこんなに楽しく、面白そうに仲間で滑る事が出来るなんて、なんて最高なんだろう、どうして今まで気が付かなかったのだろうとちょっと悔しい気持ちになったのを覚えています。
三段山2000、このビデオがテレマークスキーを始める強力な後押しの一つで有ったことは間違い有りません、手に入れてからも幾度となく見ました、そしてイメージを頭にたたき込んで、足の切り替え練習や、体重移動、後ろ足の操作イメージ、ジャンプターン、ベンディングターンのイメージトレーニングをいっぱいやりましたね。

シール付けて山スキー
 翌12月17日、ワイスでササマサ@帯広さんから借りた山スキーセットで、山スキーを体験させてもらいました、CATに乗ったのも初めてでした。
当然シールというのも初めて付けて歩きました。
シールの感想は、おっ後ずさりしなじゃないか、真っ直ぐ登れるし、あ、前にも若干は滑るんだなってな感じの新鮮な印象とちょっとの驚きがありました。
20分位で頂上着、そして新雪の斜面へ、ゲレンデの外ってほんと楽しいです、だーっと滑り自分のシュプールを見てにんまり、でも、もう山スキーではなんだか物足りないような気が・・
上井さんが豪快に雪煙を上げて転がっている(失礼)、そんな姿がちょっとうらやましく見えて、山はやっぱテレマークかなって。

テレマーク師匠は上井さん
 私にテレマークの面白さを熱く語ってくれ、そして教えてくれた上井さんが私の師匠です。
HYML月例飲み会の度に面白いよう、やってみないか、教えるからと言ってくれたおかげで始める気になったのですから。
体重の前後配分はどうなの、前足の役割って、後ろ足の役割って、しまいにはどういうふうに滑ればいいの、どうして簡単に転ぶの等々変な質問ばかりにも笑って答えてくれました。
師匠から借りたテレマークのビデオ(題名失念)もとても参考になりました。

テレマークスキー購入
 2001年1月5日、里津子がやってみたらと勧めてくれ、即その気になりすぐパドルクラブへ行って購入算段。
K2パウダー167cm、ロッテフェラーチリ、クリスピCX2、シールはポモカで決定、店員の勧められるままでした、ショートスキーが流行りだしていたこともあってこのセットとなりましたが、今思えば大正解でなかったかと、シールも不都合の経験はありません。
クリスピCX2は初心者にとても勧められます、脱着しやすいこともありますがつま先の所が広めに作られていて指を締め付けるようなこともありません。
堅すぎないのでツアーにも十分向いていると思いますし、また、ふくらはぎ部分も高すぎませんので短足の私に丁度なのです。
ただ、ひねりの力が強いと靴が捻れて板をしっかり押さえつけられないと感じる事もありますが、極端なシーンでなければ感じることは無いでしょう。

練習、飲んで練習また練習
 テレマークスキーが揃った翌1月6日、今日はHYML新年会ですが真駒内スキー場で練習です。
ニセコオフミでの上井師匠の滑りと教えと三段山ビデオのイメージのみで行っちゃえーって感じでしたが、圧雪、緩斜面ならなんとかヨタヨタと下りてこられる、これでいいのかな?
しかし、スピードが乗ったり、急な斜面になったりすると途端にNG、アルペンで逃げちゃう。
やっぱ、いきなりショートターンは無理でしたね。

そこでパラレルターンの練習に切り替える、動作の確認をしようと思いましたので。
低速で弧は少し大きめにして立ち上がりながら一旦両足を揃え、次に外足を前に出しながら徐々に屈み込みつつ回り込む、そして再度立ち上がりながら一旦両足を揃え外足を前に出しながら回り込む、出来るんですけどねー。
ただこれだと前がかりになっていて後ろになる足の感じが掴めないのです、ただ付いて来ているだけで活躍していない、上井師匠は後ろ足に体重を乗せる意識ですよーって言っていたなー、確か。
今日はここまで、新年会に行こうっと。

翌、1月7日、盤渓スキー場にお恵さんと合同練習に行きましたがこのスキー場、結構きつくて大変でした(実は初めて行ってみました)、全体的に急斜面が多いし堅いし。
昨日の続きと思ったが急なのでスピードが出過ぎてコントロールできない、この際だから思い切って切り替えは同時操作でやってみる、つまり両足でポンと踏んで立ち上がりスキーの入れ替えは一気に済ますことにした。
一旦ポンと踏み込んで次のターンで前になる足を出す、同時に前に有る足を引く、ターンする、スピードを抑えるため前足でエッヂングをグググーとする、後ろ足は折りたたんでいるだけで加重の方向、強さは分からないまま。
そして、次のターンに備えて姿勢を起こしつつポンと踏んで足を入れ替えターンする、また前足でグググーっとエッヂング、後ろ足はただ付いてきて横滑りしているだけですが。

幾度か練習している内にショートターンらしくなってきているようで、またショートターンは誤魔化しがきくので少々ふらふらしても余り気にせずに次のターンに入いれます、ターンに入ってしまえばその中で修正できますから。

この時ですね、アルペンターンとターンの本質は全く変わらないと感じたのは。
ただ、前後に行き来する足の移動距離がアルペンターンに比べて長く、ゆっくりした動作だとターンの弧が大きくなってしまうのでそこは意識して入れ替える事が重要かなとも。

で翌1月8日、中山峠スキー場へ、新雪求めて行ってみるも全面圧雪されていてがっくし。
仕方なく林間コースへ、でもここで以外にも新雪って滑りやすい事を発見、前日の同時操作が効いていているのかな、なんなくターンできる、結構ふらふらしながらもそれなりで満足、満足テレマークでの山デビューも近いかも、といった感じでその後も練習は沢山練習しました。
  
転倒、転倒また転倒
 これほど転ぶとは思っていませんでした、まるで初めてスノーボードに乗った時のようです。
エッヂを引っかけてコテン、ボードが先行して腰が引けコテンといった感じに似てました。テレマークの場合はヒールフリーなので、ちょっとした凹凸で体が前に振られると踵が浮き上がっておっとっと、アルペンなら踵が固定されているのでこんな事には絶対ならないのだが。

足が揃ったらなおさら無抵抗にコテン、転ばないように頑張ると駆け足のごとく足をばたばた。
小さなジャンプの着地で足が揃ってしまったら2段ジャンプで前方に投げ出されることも。
ジャンプ競技の着地はテレマーク姿勢を入れないと減点対象ですが、テレマークスキーは常に意識的にテレマーク姿勢をとっていないと転倒に繋がるのでテレマーク姿勢が大切だなーっと。

 テレマークって簡単に前方一回転できてしまうんです、なんたってヒールフリーですからアキレス腱を伸ばされることなくマット運動のようにくるりとすんなり、足の怪我の心配は余りありませんがそのかわりスキーが顔面にヒットすることが有るのでここが要注意かな。
ということで転んでもすっくと立ち上がれるのですよ。

回りすぎて何故か山側へ
 始めのうちは何故だか山回りで止まらないことがありました、ターンの切り上げが出来ずに
ずるずると止まらない山回りになってしまうのです、腰も肩も回転方向に向かっていってしまって。
なんでこんなにくるりと回ってしまうのか分かりませんでしたがそれもいつの間にか直ってしまいました。
 まー今から思うには、やっぱり後ろ足でのコントロールが出来ていなかったからかなと・・・
前足に従って横滑りしながらただ付いてきているだけ、本当は方向づけや、ターンのきっかけ前後のバランス、スピードコントロールまでも後ろ足が大切なのですがそのいずれも足りなかった為なんだろうと、しかもどれもが微妙なところの感覚なのですぐには掴めなかったのでした。
ゲレンデでそこそに滑れるようになったら、後ろ足に意識を集めて滑ることが大切です。

左右スキーのテールが重なってしまう
 深くしゃがみ込んだ場合、後ろ足の向きなどコントロールしていないからスキーが開き加減になっていても分からなくて最後はスキーの後端部が重なってしまう、そして操作不能に陥る。

 そこで、ターン中に後ろ足の膝を締めてみたり開いてみたり、足裏の外側で強くエッヂングしてみたり、後ろ足加重90%でターンしてみたり、足の前後差を少なくして同じように試したりしてスキーの動きがどうなるか確かめました。
実際の滑りでは微妙な足裏の操作が必要なところなのですが、急激な動作でどうなるのか確かめたくてガガーとか、ギュッといった感じで後ろ足外側エッヂで雪面を蹴るような事もしました。

 結局、テレマークスキーというのは後ろ足がとても重要な役割を担っているということがこういった滑りで確認出来ました。
確認できたとはいっても滑りにはなかなか反映されませんが・・・

 特にですが、後ろ足のスキーはつま先一点で支えるので前後がバタバタするのは仕方有りません、バタバタしても余り気にせずにスキーの中心に乗る(押さえる感じでも良いかも)ことを考えていればスキー操作に乱れは生じないようです。
上体を安定させて腰骨でスキーの中心にしっかりと乗る(押さえる感じでも良い)これが出来ればしめたものですね、スキーの方向性はかなりしっかりしたものになるでしょうしかなり荒れたバーンでも楽に滑られるようになるでしょう。

妻も山スキー始める
 里津子の山スキーも購入してしまった、フリッチディアミールとフィッシャー150センチのカービングスキー、コフラックのブーツ、夫婦での山デビューも間近いかな、その前に里津子も少し練習させねばと手稲オリンピアで一日特訓というかスキーになれてもらう。
私はせっせとテレマークと。

山へ
 もうすぐに待ちきれずに山へ入りました、まずは喜茂別岳へオフミで。
シール付けて歩く練習、寒かったしだらだらと続く緩斜面でしたが歩く練習にはなりました。
ガンさんはじめ酒豪が勢揃い、いやー飲むわ飲むわ、もうレロレロ。

翌週はリフト利用で回数稼ぐ
 ニセコモイワでリフトを使って林間コースのパウダー練習、4時間券で15本、ラーメンミサも行ってである、ひたすら滑りまくりました、ほぼ貸し切り状態でグルグル、グルグルと、この日の練習でパウダーへの感触が大体掴めたような気がしています。
切り替えの動作(同時操作)、体重移動による上体の先行動作、ベンディングターンの効用、前足はなるべくリラックスさせ主に方向づけのみ、そして後ろ足への加重とそれによる安定性向上の確認などなど。

夫婦で山スキーへ
 まずネオパラに行き、初の夫婦山スキーデビューとなって私も里津子も少々自信を付け、百松沢山へ行き、2月連休の三段山オフミやらパラダイスヒュッテでのオフミに参加しながらトレーニングを重ねていましたね、とにかく沢山、山に行きました。
その勢いのまま3月に三段山へいってみたら、旦那さんにばったり会い、テレマーク始めて3か月にして三段山2001の出演記念の滑りとなったのでした。
今見返してみると、確かにおっかなびっくりの大人しい滑りですね、よく登場させてくれましたねーって、旦那さん冒険したよねきっと。
(旦那の注釈:ぜんぜんそんなことありません。素晴らしい滑りでした。)

 そして、なんと4月7日には夏冬を通して未登だった旭岳にスキーで登頂してしまいました。
天候が非常に良いという条件に恵まれ、またkomiyaさんとばったり会ったこともあって非常に心強くなり8合目から上はアイゼン無しのままツボ足で登頂できました。
東斜面を気持ちよく滑り、熊が岳から中岳方面まで足を伸ばしてあんなに酷いシュカブラ斜面も初めて滑り中岳温泉にも入って、もう大満足な一日となりました。


課題1・高速ターン
 三段山ビデオもそうなのですが、テレマーカーってほとんどの人が私よりターンが大きく高速なのです、私はそう感じています、ひょっとしてビデオ撮りのためだけのなのかな?
大きなターンは特に姿勢の安定性が高くないと綺麗な弧を描けません、私の場合は弧が大きくなればなるほど全体的に不安定になり特に前後に振られることが多くなります。
また、高速になるとスピードのコントロールに前足を多用する事が多くなりそれは不安定を助長する事に繋がり・・
といった感じで最後は滑りが破綻してしまうのです、後ろ足は何処へ行ったのってことで高速になると後ろ足が上手く使えていない状況ですね、今年は何とかしなくては。

課題2・急斜面
 多分高速ターンが上手くいかないのと同じ理由なのでしょうね、斜面への恐怖心から後傾になるのはいけないと分かっているのですが・・
それがきっかけでスキーのコントロールが上手くいかず2ターン目で速くも前足ブレーキに頼っていしまうのです。
昨年も今年もここを克服しようと色々試してはいるのですが、なかなか思うような滑りにはなっていません、積極的に前傾をかけないといけないのですが、前足を突っ張ってしまいスキーに付いていけず後傾になり次の動作が遅れてしまってターンはするものの制動するだけのターンとなっているようです。
ことしはどうにか目処を付けたいな。


感謝、感謝
HYMLの皆さんにはとても感謝しています、数々のオフミのお誘い、ルック岳定例飲み会などを通して山スキーを行う上での危険性、トラブル対処法、各種装備の重要性など教えていただきとても助かりました、本からの受け売りだけでは心許なかったはず。
今後も皆さんと楽しく安全な山スキーを続けたいと思います。
よろしく。

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